ニコン ズームニッコール 35-70mm F2.8Sの性能分析・レビュー記事です。
さて、写真やカメラが趣味の方でも、レンズの仕組みや性能の違いがよくわからないと感じませんか?
当ブログでは、光学エンジニアでいわゆるレンズのプロである私(高山仁)が、レンズの時代背景や特許情報から設計値を推定し、知られざる真の光学性能をやさしく紹介します。
当記事をお読みいただくと、あなたの人生におけるパートナーとなるような、究極の1本が見つかるかもしれません。
作例写真は準備中です。
レンズの概要
当記事で紹介するNikkor 35-70mm F2.8は、FnoがF2.8の大口径標準ズームとしてNIKONで最初に発売されたレンズです。
NIKONにおけるズームレンズは、Zoom-NIKKOR Auto 43-86mm F3.5が国産初の標準ズームとして1963年に発売されています。
そして、高変倍化(高ズーム化)と大口径化が進められ、1987年にズーム全域でF2.8の大口径でありながら利便性の高い焦点距離35-70mmの仕様を達成した当記事のNikkor 37-70mm F2.8が発売となりました。
その後はご存じの通り、F2.8標準ズームレンズはプロ御用達とか王道レンズとまで言われる不動のエース的存在へと成長しました。
改めてNIKONにおけるF2.8標準ズームレンズの系譜を確認してみましょう。
- AiAF Zoom-Nikkor 35-70mm F2.8S(1987)★当記事
- AiAF Zoom-Nikkor 28-70mm F2.8D(1999)
- AF-S Nikkor 24-70mm F2.8G ED(2007)
- AF-S Nikkor 24-70mm F2.8E ED VR(2015)
- Nikkor Z 24-70mm F2.8S(2019)
※光学系を流用している製品は除きます。
なお、カメラ本体の方から見てみますと、当記事のNikkor 35-70mm F2.8の発売時期である1987年は、NIKON F3の時代でした。
名機NIKON F3は1980年の発売で、本レンズが発売となった翌年の1988年にNIKON F4が発売されています。
私的回顧録
『正か負か』
レンズとは、大雑把に分類すると2種しかありません。
それは「正レンズと負レンズ」です。
「正レンズ」とは、いわゆる凸レンズの事で、光を集光する作用を持ちます。

身近な例としては虫眼鏡がその正レンズに相当します。
小学校時代に太陽光を集める実験をした方も多いのではないでしょうか?また、レンズ(虫眼鏡)を通して眺めると物が拡大されて見えることはどなたも体感的にご存じでしょう。
一方の「負レンズ」とは、いわゆる凹レンズの事で、光を拡散する作用を持っています。

身近な例としては近視用の眼鏡がその負レンズに相当します。
負レンズは名前の通り、正レンズとは逆の作用を持つので、眼鏡かけている方の瞳を見ると縮小されて見えます。
世の男子に発生する珍妙な現象のひとつに「眼鏡を外した女子が急にかわいらしく見える」現象があることをご存じでしょうか?
この現象は、レンズ(眼鏡)を通して見ている女子の瞳(虚像)は、実際の瞳(実像)より小さく見えているため、眼鏡を外すことで通常時よりも相対的に女子の瞳が大きく見えるため、結果的に「眼鏡を外すと可愛い」と感じるのです。
物理的に正しい作用の結果ですね。ちなみに物理現象としては男子でも同様の効果を発揮しますが、同様の効能を聞いた記憶がありません…
また、この説明のようにレンズを通して見た世界を「虚像」と言ったり、あるいは「見かけの像」と表現すると業界人ぽい感じがするかもしれませんね。(あまり使い道が思いつきませんが)
しかしながら、女子の眼鏡姿を愛する方も多いらしいので「現実」とは難しいものです。
さて、正レンズを英語では「Positive Lens(ポジティブレンズ)」と表現し、負レンズを「Negative Lens(ネガティブレンズ)」と表現します。
そのため、光学設計者は「アイツは、負レンズ先行タイプばかり設計する陰湿(ネガティブ)な野郎だ」などと不気味な陰口を叩き合います。レンズの物理特性で人格を占う奇妙な人種と言えるでしょう。
なお、当ブログでは基本的には正レンズや負レンズとは表現しません。初見の方にわかりやすいように凸レンズ/凹レンズと表現するようにしております。
今回の「正か負か」はくだらない雑談のようですが、次回以降へ続く布石となっています。
さて、本題のレンズ分析へまいりましょう。
文献調査
当記事で分析するNikkor 35-70mm F2.8はそこそこに古い製品ですが、NIKON自身が過去のレンズを回顧する「ニッコール千夜一夜物語」でも特集され、設計者のお名前まで公開されておりますので無事に特許文献を発見できました。
さて懸案の特開昭63-241511の実施例をつぶさに観察しますと実施例3が最も近い形状をしております、これを製品化したと仮定し、設計データを以下に再現してみます。
関連記事:特許の原文を参照する方法
!注意事項!
以下の設計値などと称する値は適当な特許文献などからカンで選び再現した物で、実際の製品と一致するものではありません。当然、データ類は保証されるものでもなく、本データを使って発生したあらゆる事故や損害に対して私は責任を負いません。
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設計値の推測と分析
性能評価の内容などについて簡単にまとめた記事は以下のリンク先を参照ください。
光路図

上図がNIKON Zoom-Nikkor 35-70mm F2.8の光路図になります。

