オリンパス、カメラ事業売却に思うこと

2020年06月24日の夕刻、オリンパスからカメラ事業の売却の一報が発表がされました。公式ホームページにも掲載されています。

事業を譲渡するとの体裁であり即時オリンパスのカメラが市場から姿を消すわけでは無いようですが、過去に事業売却されたIBMのノートパソコンThinkPadや日系液晶事業連合の末路などを見ると将来にあまり良いイメージは期待できません。

私のカメラ履歴としては、オリンパス以外のメーカーからスタートしましたが、オリンパスのフィルム一眼レフカメラOM-1との出会いからより深くカメラ・レンズ沼へ沈みました。その結果として今の職業であるレンズ設計にも繋がりますから私の人生を左右した会社なのです。そこで、あくまで素人目線ですが、オリンパスのカメラ事業を少し振り返りつつ今後の予測をしてみたいと思います。

あるOMマニアの視点から見た経緯

まずはOMシステムの始まりから2020年までの流れを簡単にまとめます。

1970年代から始まったオリンパスの一眼レフカメラOMシステムですが、小型軽量・質実剛健、まさに理想のカメラを早々に完成させてしまったためなのでしょうか?OM以降のオリンパスのカメラ事業はずっと迷走を続けているように思います。

まずフィルムカメラ時代末期のシステムの電子化に乗り遅れオートフォーカスの導入に失敗します。その90年代には本流から外れてしまい、実質的な意味でOMは終焉を迎えてしまいます。

2000年あたりからのコンデジブームでオリンパスのカメラ部門自体は息を吹き返し、CAMEDIAの名称でトップグループを走っていました。この頃はまだ、デジタル化されたOMシリーズが発売されるに違いないと固く信じていた自分が大変懐かしい…

2003年ついにOMシステム生産終了と同時にフォーサーズと言うフルサイズの半分ほどの撮像素子を採用したEマウントカメラシステムを立ち上げました。Eマウントは、アダプタでZuikoレンズを装着できましたが、フルサイズとは撮像素子サイズがだいぶ異なりますから実質としてOMマウントユーザーを切り捨てる形でデジタルへ移行となりました。しかしZuikoレンズはオートフォーカス化に失敗していますから切り捨てはやむを得ないのも理解はできます。

2009年にミラーレスの先駆けとなるマイクロフォーサーズを立ち上げミラーレスブームを作り一定の評価は得られていたものの、APSサイズよりも小さな撮像素子サイズですから早期から画素数競走には追従できず絶対に本流にはなれない宿命を背負いました。フォーサーズユーザーについては、わずか数年でシステム終了と言う酷い仕打ちとなったので某掲示板などで叩かれていました。

フォーサーズは当初はEシステムとの名称であり、マイクロフォーサーズではペンの愛称が採用され、OMとは決別を意図していたのですが、2012年からOMの名前を担ぎ上げたハイエンド・マイクロフォーサーズシリーズのOM-Dを開始します。

しかしOMシステムに愛着のある層から見れば「旧OMマウントで一度捨てられ」「フォーサーズも数年で放棄」の仕打ちを受け、コンデジさえAPSサイズの製品が発売される中で小さな「マイクロフォーサーズの将来性は薄い」のは明白で偉大なOMの名称と製品の市場性が合致しなかったと言わざる得なかったのでしょう。

なぜこのタイミングでOMなのか?と不思議に思うのですが、私が想像する理由は2つあります。まずは米谷氏が使用を許さなかった説、OMシステムの開発者として有名なオリンパス元常務の米谷氏の逝去後というタイミングでOMの名称を使いだしたので、本人存命中は名称使用の了承が得られなかったのではと察してしまいます。また、もう一つはフルサイズ化断念説、フルサイズカメラ移行時にOMの名を使おうと温めていたが、フルサイズ化を断念したためフォーサーズ機へOM名を使ったのではないか?などと想像します。

2018年以降のカメラ市場減縮の流れの中で新製品の声が小さくなってきます。

2019年頃からカメラ事業譲渡の噂や推測記事が出ており、2020年ついに事業譲渡の発表となったようです。

今後のマイクロフォーサーズの行方

冒頭の通り、オリンパスのカメラ事業は譲渡するが継続と発表されていますが、実際に今後のマイクロフォーサーズはどうなるのでしょうか?

現在の所は、フォーサーズマウントを共同運営しているパナソニックからは撤退等の情報はありません。パナソニックはマイクロフォーサーズの立ち上げから長年かけて育てたLUMIXシリーズをフルサイズへ拡張したLマウントを最近発売しています。システム性の観点からフォーサーズを簡単に辞めるわけにはいかないでしょう。

フォーサーズの消滅までには至ることは無さそうに思います。

OM・Zuikoブランドはどこへ

オリンパスのカメラ事業についてはまずは再生ファンドへ売却までは決定していますが、ファンド下による単体での再生は困難な事は容易に想像できますから過去の色々なメーカーが辿った事例のように恐らくどこかへ売却されるのでしょう。

2020年2月に気なるニュースが発表されています。

マイクロフォーサーズ規格賛同企業が拡大

YONGNUO撮影器材株式会社(中国深圳)、MEDIAEDGE株式会社(本社・兵庫)、Anhui ChangGeng Optics Technology Company Limited(Venus Optics、本社・中国)の3社がフォーサーズに加盟

https://dc.watch.impress.co.jp/docs/news/1236388.html

VenusOpticsは最近、LAOWAブランドで人気のある中国のレンズメーカーで、NGNUOもAMAZONでよく見かける中国の格安カメラ用品メーカーです。今年2月にフォーサーズ参画ということはオリンパスの事業譲渡も知った上での事でしょうから、長期的には中国系のメーカーに売却されてしまうのでしょうか…

仮に売却となればオリンパスの名称は使えなくなりますが、過去の事例から考えるとOMやZuikoなどの製品名は売却先に譲渡されることが多いので名前だけは残るのかもしれません。

数年後の中華製の格安スマホのレンズ名になっていたりして…  悲しい。

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