分析008 SIGMA Art 50mm F1.4 DG HSM

SIGMA Art 50 1.4の性能分析・レビュー記事。作例写真は現在準備中です。

レンズの概要

標準レンズと言われる焦点距離50mmのレンズにおいて大口径&高性能の代表的製品です。古き良きガウスタイプからの脱却を狙ったのか当時としては異常な高性能と引き換えにずっしりとした重量感となっています。

50mmレンズが標準と言われる画角以外の理由の1つには「Fnoが明るい割に小型で性能が良いから」と言う点があったはずなので、これは標準レンズとは言えないのかもしれません…

このレンズは新しいのでこちらに情報があります。

結果として各社のレンズラインナップに良い刺激を与え、ガウスタイプしか無かった50mmに色々な選択肢が広がったと言う意味では革新的だったのではないかと思います。

個人的エピソード

一般的なダブルガウスタイプの50mmF1.4に対しておよそ2倍の大きさで、誰が何の目的で購入するのか発売当時の私の理解を超えてました…

現在の視点で見ると、結果としてフルサイズデジタル一眼の高画素化と低価格化による市場の広がりに上手くマッチした事もあり、新たなジャンルとユーザーを開拓したように思います。

SIGMA 35mm F1.4 Art」の記事から引き続きArtシリーズの単焦点を分析します。

これは現代的な光学設計値の基準作り(ベンチマーク)を行うための取り組みの一環になります。SIGMAのArt単焦点レンズは「性能重視、大きさ度外視」という非常にわかりやすいコンセプトで設計されておりベンチマークの基準として扱いやすいというのが理由です。

文献調査

さて特許文献を調べると現代の製品なので関連すると思われる特許が簡単に見つかりました。断面図の雰囲気から特開 実施例2が製品に見た目で近いので設計値と仮定し、設計データを以下に再現してみます。

!注意事項!

以下の設計値などと称する値は適当な特許文献などからカンで選び再現した物で、実際の製品と一致するものではありません。当然、データ類は保証されるものでもなく、本データを使って発生したあらゆる事故や損害に対して私は責任を負いません。

設計値の推測と分析

性能評価の内容について簡単にまとめた記事は以下のリンク先を参照ください。

 リンク:光学性能評価光路図を図解

光路図

SIGMA Art 50mm F1.4 DG HSM

上図がSIGMA Art 50 F1.4の光路図です。

8群13枚、最も撮像素子に近い最終レンズに非球面を配置し球面収差と像面湾曲を同時に補正し、色収差を良好に補正するための特殊低分散材料も3枚配置する贅沢な仕様です。

一般的なダブルガウスは6枚で構成されてますが、こちらは2倍以上の13枚ものガラス枚数かつ非球面レンズも入っていますので、性能は3倍マシを期待したいところです。

基本的な構造を見てみると被写体側の5枚部分の前群がフォーカシング時固定の群で、残りの撮像素子側の後群でフォーカス動作を行う前後2群構成です。

ガウス的な構造の後群の前側にフロントコンバーターを付けたような見た目と表現すべきでしょうか?一般的なガウスタイプに比較して独自色が強すぎてよくわかりません。

写真用レンズとしては最も有名なガウスタイプについては下記リンク先へ簡単にまとめてありますので参考にご覧ください。

リンク:ダブルガウスレンズ

縦収差

球面収差、像面湾曲、歪曲収差のグラフ

SIGMA Art 50mm F1.4 DG HSM 縦収差

球面収差 軸上色収差

解説する意味も無いほどに、略直線の特性図です。

一般的には球面収差形状をマイナス側に膨らませたフルコレクション型にすると小絞り時の像面変動とバランスを取りやすいのですが、このレンズはひたすらに収差を少なくし解像性能を上げることで小絞り時の変動にも耐えられるような設計指針なんでしょう。

像面湾曲

中間部分を超えると少し像面湾曲、非点収差があるようです。

歪曲収差

元々ガウスタイプでは対称型配置のため歪曲収差は略ゼロになります。このレンズはだいぶ対称性の崩れたレンズ構成のため収差が大きく悪化しそうな物ですがゼロレベルまで抑制されています。

倍率色収差

SIGMA Art 50mm F1.4 DG HSM 倍率色収差

十分に補正されています。

横収差

SIGMA Art 50mm F1.4 DG HSM 横収差

サジタル方向のハロはFno1.4の仕様を考えれば極めて小さく抑えられています。タンジェンシャル方向では像高12mmぐらいからコマ収差が少しありMTFが低下しないか気になります。

スポットダイアグラム

SIGMA Art 50mm F1.4 DG HSM スポットダイアグラム

F1.4の仕様からすればキレイにまとまっています。サジタルフレアはガウスタイプに比べれば十分小さいですが、夜景や星を撮影するなら1段程度絞る方が良いでしょう。

MTF

開放絞りF1.4

SIGMA Art 50mm F1.4 DG HSM MTF F1.4

中心域は文句なく高く、像面変動も少ないようです。横収差で見えた通り像高12mmを超えるとコマ収差により頂点が低下してきますが、一般のガウスタイプに比較すればもう異次元のレベルで高性能です。

小絞りF4.0

SIGMA Art 50mm F1.4 DG HSM MTF F4.0

球面収差を抑えすぎているために小絞りにすると像面湾曲が相対的に大きくなりますが山の高さが大きく上がるため実写では解像性能が落ちたような印象は受けないでしょう。

そのあたりまで配慮して設計していると思われます。

周辺部の山の高さが向上するのは横収差図で見るとわかるのですが、タンジェンシャル方向の像高12mmより高い所に残るコマ収差が絞りによりカットされるためです。

総評

ガウスタイプの光学系に比較すると周辺部まで驚くほど収差が補正されています。発売からしばらく経過し値段もこなれていますから高コスパレンズであることは誰もが認めるところでしょう。

もし知人に高性能50 1.4が欲しいと相談され重量に問題が無ければ、まず1本目に推薦するのはこの製品で間違いありません。

SIGMAの50 1.4以降、各社が高性能50mmを投入しいているのも面白いところですが、大型化の流れは止められないようで、むしろSIGMAが見慣れて小さく見えると言う恐ろしい時代となっています。

小型化と高性能を両立するような製品にも今後は期待したいところですね。

近代50mmレンズの性能比較の記事も作成しております。以下のリンク先も合わせてご参照ください。

 リンク:各社50mm F1.4の比較

SIGMA/NIKON/SONYの最新レンズ3本を比較検証しています。

作例

SIGMA 50 1.4の作例は現在準備中です。

SIGMA製品で作例のある物はこちらのリンクにまとめてありますのでご参照ください。

リンク:作例ギャラリーSIGMA

価格調査

最新の価格は以下のリンク先にてご確認ください。

製品仕様表

SIGMA Art 50 1.4製品仕様一覧表(Lマウント用)

画角46.8度
レンズ構成8群13枚
最小絞りF16
最短撮影距離0.40m
フィルタ径77mm
全長123.9mm
最大径85.4mm
重量890g

他の製品分析記事をお探しの方は以下の目次ページをご参照ください。

リンク:レンズ分析目次

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