レンズ分析

【レンズ性能評価】SIGMA Art 105mm F1.4 GD HSM-分析010

シグマ Art 105 F1.4の性能分析・レビュー記事です。

レンズの仕組みやその性能は一体どう違うのか、具体的な違いがほとんどよくわかりませんよね。

雑誌やネットで調べても似たような「口コミ程度のおススメ情報」そんな記事ばかりではないでしょうか?

当ブログでは、レンズの歴史やその時代背景を調べながら、特許情報や実写作例を元にレンズの設計性能を推定し、シミュレーションによりレンズ性能を技術的な観点から詳細に分析します。

一般的には見ることのできない光路図や収差などの光学特性を、プロレンズデザイナー高山仁が丁寧に紐解き、レンズの味や描写性能について、深く優しく解説します。

世界でこのブログでしか読む事のできない特殊情報をお楽しみください。

作例写真は準備中です。

レンズの概要

SIGMAのArtレンズシリーズは、金属部品を多用した高品位な外観と、高い解像性能を兼ね備えるフラッグシップモデルです。

本項で紹介する105mm F1.4 DG HSM Artは大口径中望遠レンズでありながら極めて高い解像性能を誇るレンズです。

さらに、SIGMAが誇るArt大口径単焦点シリーズのなかでもSIGMA自身が「BOKEH-MASTER」との別名を付けるほどのレンズです。(ぼけますたー、と読みます)

大口径レンズによる像のにじみをボケと呼び愛でる文化は日本が発祥で「世界共通でボケ(BOKEH)と言われるのだ」と聞いたことがあります。

外国人の知人がおりませんので本当なのかわかりませんが…

このレンズは新しいのでこちらに情報があります。

私的回顧録

「焦点距離100mm=F2.8マクロ」が、ここ20年ぐらいの常識ではないかと思います。

写真を嗜む者なら「マクロレンズの1本ぐらいは必携」であり、必ず所有していますから、マクロ以外にもさらに100mmを購入する理由はなかなか無いのが実情ではないでしょうか?

そんな状況で、この105mmF1.4が登場したわけですが、初めて見た時の第一声は「えッ?三脚座あるょ…」だったと記憶しています。

三脚座とは、レンズを三脚に取り付けるためのアタッチメントのような物です。

一般的に三脚を使う場合はカメラの三脚ネジ穴を使って固定することが普通だと思いますが、望遠レンズなどの重いレンズはレンズ側に三脚固定用のネジ穴の付いた部品が付属するのです。

カメラよりもレンズが重くなる場合、レンズ側を三脚に固定しなければ安定しませんし、レンズの重みでカメラが痛んでしまいます。

これは望遠レンズを使わない方には馴染みが無いかもしれませんね。

このレンズは、重量が約1.6Kgですから確かに三脚座が必要ですね。

また、フィルターサイズはΦ105だそうで、焦点距離に合わせたのでしょうか?そもそも普通に流通しているサイズなんでしょうか?大きすぎて聞いたことのないサイズです。

調べてみましたところ販売はされていますが、プロテクトフィルターでも8000円前後するようです…まともな中古レンズが1本買えてしまいますね。

値段的に業務用?学術・実験などの用途なのでしょうか?スゴイ価格です。

さて、今回も「SIGMA 35mm F1.4 Art」の記事から引き続きArtシリーズの単焦点を分析します。

これは現代的な光学設計値の基準作り(ベンチマーク)を行うための取り組みの一環になります。SIGMAのArt単焦点レンズは「性能重視、大きさ度外視」という非常にわかりやすいコンセプトで設計されておりベンチマークの基準として扱いやすいというのが理由です。


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文献調査

さて特許文献を調べると現代の製品なので関連すると思われる特許が簡単に見つかりました。断面図の雰囲気から特開2019-144477実施例1が製品に見た目で近いので設計値と仮定し、設計データを以下に再現してみます。

!注意事項!

以下の設計値などと称する値は適当な特許文献などからカンで選び再現した物で、実際の製品と一致するものではありません。当然、データ類は保証されるものでもなく、本データを使って発生したあらゆる事故や損害に対して私は責任を負いません。


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設計値の推測と分析

性能評価の内容について簡単にまとめた記事は以下のリンク先を参照ください。

 関連記事:光学性能評価光路図を図解

光路図

上図がSIGMA Art 105 F1.4の光路図です。

 12群17枚、最も撮像素子に近い最終玉に非球面レンズを配置し球面収差と像面湾曲を同時に補正し、色収差を良好に補正するための特殊低分散材料を5枚も配置しています。

基本的な中望遠的なレイアウトが二重になっているというのか、大きな中望遠のなかに小さな中望遠と言うか…じっと見つめると何か錯視の絵を見ているような錯覚を起こしてしまいます。

少枚数の設計は当然難しいのですが、コンピュータが早くなった現代では終わりはわかりやすくなりました。

一方で、これだけの多枚数のレンズ設計ともなると熟練の設計者でなければすぐにコントール不能に陥ります。

レンズの設計はコンピュータがアシストしてくれるとは言え、設計者が信念をもって導かねば適切な答えにはたどり着くことはできません。

また、レンズ枚数が多ければ設計自由度が高まり高度な収差補正が可能になるわけですが、製造誤差の要素数が増えるので発売までの苦労はかけ算で増大します。SIGMAの中の人もたぶん大変だったでしょう。

縦収差

球面収差像面湾曲歪曲収差のグラフ

球面収差 軸上色収差

SIGMAのArtシリーズに85mmF1.4がありまして、そちらが最高性能かなと思っていたのですが、少々信じがたいことにこの105mmの方が球面収差が少ない…

像面湾曲

像面湾曲はほぼ完全に収差が抑えられているレベルです。

歪曲収差

歪曲収差は望遠域なのでほんのわずかにプラス側に残る糸巻き型ですが、絶対値的には写真に影響するレベルではありません。

倍率色収差

倍率色収差も105mm F1.4の仕様とは信じ難いレベルで十分に補正されています。

横収差

横収差的にも85mmF1.4より補正されている印象です。


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スポットダイアグラム

スポットスケール±0.3(標準)

わずかにサジタルフレアの影響が気になりますが、十分な補正です。

スポットスケール±0.1(詳細)

こちらはさらにスケールを拡大し詳細を確認するためのグラフです。

MTF

開放絞りF1.4

開放Fno1.4の状態で画面全域で十分高い特性です。さすがに画面の最周辺にあたる像高21mmあたりでは像面湾曲がありますが、あくまで隅の話で、全体には高い解像力が期待できます。

小絞りF4.0

Fno4.0まで絞れば無収差と感じられる極めて高い性能になります。

現在のカメラ用のイメージセンサーを前提とすれば物理的にこれ以上は高解像度の映像を作る手段はないかもしれません。

多数画像の合成とかを考えれば別ではありますが…

冒頭にも記した通り、BOKEH-MASTERと言う別名を持つレンズではありますが、収差のキレキレ具合からするとKIRE-MASTERでも良いかも?と思いました…

総評

現代的光学設計の代表例として取り上げたこのレンズですが、想像以上に補正差された収差の様子は圧巻でしたね。

SIGMAの他のレンズの様子からすると、もっと非球面レンズを多用し、小型化することも可能なのではないかと思いますが、非球面レンズを多く導入すると玉ねぎボケといわれるボケの汚さが増大するリスクがあるため、できる限り球面レンズを多用し設計されたものと推測されます。

このArt 105mm F1.4は、体力に自信が無いと使いこなすのは困難でしょうが、一度でも使うとその高性能から離れられない体になりそうですね。


作例

SIGMA Art 105 1.4作例は準備中です。


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価格調査

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製品仕様表

SIGMA Art 105 1.4製品仕様一覧表(Lマウント用)

画角23.3度
レンズ構成12群17枚
最小絞りF16
最短撮影距離1.0m
フィルタ径105mm
全長155.5mm
最大径115.9mm
重量1625g

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