レンズ分析

【レンズ性能評価】SIGMA Art 135mm F1.8 DG HSM-分析011

シグマ Art 135mm F1.8の性能分析・レビュー記事です。

レンズの仕組みやその性能は一体どう違うのか、具体的な違いがほとんどよくわかりませんよね。

雑誌やネットで調べても似たような「口コミ程度のおススメ情報」そんな記事ばかりではないでしょうか?

当ブログでは、レンズの歴史やその時代背景を調べながら、特許情報や実写作例を元にレンズの設計性能を推定し、シミュレーションによりレンズ性能を技術的な観点から詳細に分析します。

一般的には見ることのできない光路図や収差などの光学特性を、プロレンズデザイナー高山仁が丁寧に紐解き、レンズの味や描写性能について、深く優しく解説します。

あなたにとって、良いレンズ、悪いレンズ、銘玉、クセ玉、迷玉が見つかるかもしれません。

それでは、世界でこのブログでしか読む事のできない特殊情報をお楽しみください。

作例写真は準備中です

レンズの概要

SIGMAのArtレンズシリーズは、金属部品を多用した高品位な外観と、高い解像性能を兼ね備えるフラッグシップモデルです。

本項で紹介する135mm F1.8 DG HSM Artは大口径中望遠レンズでありながら極めて高い解像性能を誇るレンズです。

このレンズは、SIGMAが誇るArt単焦点シリーズのなかでも焦点距離が最も長いレンズです。(2020年執筆現在)

現在のところ、Art単焦点シリーズのFnoは、基本的にF1.4ですが、このレンズのみF1.8となっています。

大口径レンズは、焦点距離が長いほどレンズ径(太さ)が大きくなり、重量への影響はより甚大となります。

そのためか、流石のSIGMAでも135mmF1.4の仕様には無理があるとの判断でしょうか?Fno1.8と少々抑えてきました。

105mm F1.4のレンズは重量1.6Kgに三脚座付きに対して、135mm F1.8は重量1.2Kgほどで、その差は400gとだいぶ有利な点です。

このレンズは新しいのでこちらに情報があります。

私的回顧録

私としては焦点距離135mmというのは初めて使った望遠レンズの焦点距離なので思い入れが深い仕様です。

しかし、望遠ズーム全盛の現代では中途半端な仕様となるのか、近年はあまり意欲的な新製品が無いような…

SIGMA以外のメーカーからも新製品を期待したいところです。

1960年代までのカメラは、Leicaに代表されるようなレンジファインダー式カメラが大勢を占めておりましたが、このレンジファインダー式はファインダーと撮影レンズが別の光学系であるため望遠レンズでの撮影が非常に難しい問題がありました。

そのためレンジファインダーカメラでは、焦点距離135mmが実使用上の最長クラスとなっていました。

その後は、一眼レフカメラの登場により望遠撮影の問題が解決すると、200mm→400mm→600mmへ次々に望遠レンズが発展してゆくことは皆様もご存じのところでしょう。

それゆえ、135mmと言う焦点距離は地味で影の薄い焦点距離仕様となり、現代においては郷愁を誘う仕様なのだろうと私は捉えております。

さて、今回も「SIGMA 35mm F1.4 Art」の記事から引き続きArtシリーズの単焦点を分析します。

これは現代的な光学設計値の基準作り(ベンチマーク)を行うための取り組みの一環になります。SIGMAのArt単焦点レンズは「性能重視、大きさ度外視」という非常にわかりやすいコンセプトで設計されておりベンチマークの基準として扱いやすいというのが理由です。

 焦点距離35mmからスタートし、一部順不同ながら焦点距離の長い側へ解析を進めてきましたが、ようやく長い側の終端となります。

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文献調査

さて特許文献を調べると現代の製品なので関連すると思われる特許が簡単に見つかりました。

残念ながらHPで公開されている製品図と完全一致する断面図のデータはありません。

しかし、特開2017-173409実施例4が基本的な構成が、ほぼ同一なのでこれを設計値と仮定し、設計データを以下に再現してみます。

なお、製品と特許データの一番の違いは特許では絞り像側の接合レンズを三枚貼り合わせとしていますが、製品は2枚接合と単玉に分離している点が異なります。

!注意事項!

以下の設計値などと称する値は適当な特許文献などからカンで選び再現した物で、実際の製品と一致するものではありません。当然、データ類は保証されるものでもなく、本データを使って発生したあらゆる事故や損害に対して私は責任を負いません。


当記事を読み終えますとレンズを購入したくなる恐れがございますので、事前に防湿庫の増設を検討されることをおススメいたします。

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設計値の推測と分析

性能評価の内容について簡単にまとめた記事は以下のリンク先を参照ください。

 関連記事:光学性能評価光路図を図解

光路図

上図がSIGMA Art 135 F1.8の光路図です。

9群13枚、非球面レンズの採用は無いようですが、色収差を良好に補正するための特殊低分散材料も4枚配置しています。

前回分析したSIGMA105mmF1.4に比較すれば構成枚数が少ないので、少々豪華な中望遠といった見た目であまり違和感はありません。

縦収差

球面収差像面湾曲歪曲収差のグラフ

球面収差 軸上色収差

球面収差を見てみますとFnoを1.8にしているとは言え、SIGMA100mmF1.4と同レベルに美しく補正されているようです。

像面湾曲

像面湾曲は最周辺の像高部でわずかにタンジェンシャルとサジタルのズレがありますが画面の隅での話ですから写真としての影響は軽微でしょう。

歪曲収差

 歪曲収差は望遠系なのでほんのわずかに糸巻き型ですが、絶対値的には写真に影響するレベルではありません。

倍率色収差

倍率色収差は、かなり理想的な補正が行われています。

F線(水色)とc線(赤)が極小で若干g線(青)がわずかに残っている状態ですが、視感度の低いg線はさほど写りに影響しませんから実写で色収差を感じることは無さそうです。

横収差

横収差として見てみましょう。

Fnoを1.8に抑えた影響が大きいようでサジタルの収差は非常に小さく収まっています。

タンジェンシャル方向はハロが残りますが、私の再現データに多少は不備もあるかもしれません。前玉をもう少し小さくすべきだったかも。

レンズの特許にはレンズの口径データ記載されていないので予測で入力する必要があり、この予測精度が低いと横収差でのハロ・コマが増大しやすいためです。


レンズが増えるとケースも必要ですよね。Amazonの格安ケースが手軽でおススメです。

スポットダイアグラム

スポットスケール±0.3(標準)

ここからは光学シミュレーション結果となりますが、最初にスポットダイアグラムから見てみましょう。

タンジェンシャル方向のスポットは散らばりが少し大きいですが密度は低いので問題になるほどでは無さそうです。Fnoを1.8と控えめにしていることもありサジタル方向は良くまとまっています。

スポットスケール±0.1(詳細)

拡大表示にしてようやく様子がわかるレベルです。

MTF

開放絞りF1.8

最後にMTFによるシミュレーションの結果を確認してみましょう。

開放Fno1.8の状態では中間像高から湾曲成分があり、山の頂点がわずかにずれています。

ただし、十分に高いレベルでの事なので実写に影響を感じるほどでは無さそうです。

小絞りF4.0

Fno4.0に絞ったMTFです。像面湾曲は改善しませんが、山の高さが上がるため解像性能は改善します。

Art 105mmF1.4にも劣らずの高性能ですが、むしろそんな性能を当たり前のように慣れてしまった自分に恐怖感を抱きます。

なにか贅沢な病に感染したのかもしれません。

このレンズは、Artの中ではコンパクトですし、135mmの独特の画角も捨てがたいので購入すべきか悩みは尽きませんね。

総評

SIGMA Art単焦点で最長となるSIGMA Art 135 1.8は、予想を裏切ることなく、極めて高性能なレンズであることがわかりました。

目の冴えるようなMTFの高さ、溜息をつくしかない色収差の少なさ、さらに付け加えるとこのレンズは他のArtレンズと異なり非球面レンズを採用していないため素直で美しいボケ味が期待できます。

すべての要素を満足したこのレンズを試さずにはいられませんね。


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価格調査

SIGMA Art 135mm F1.8 の価格については、以下の有名通販サイトで最新情報をご確認ください。

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製品仕様表

SIGMA Art 135 1.8製品仕様一覧表(Lマウント用)

画角18.2度
レンズ構成10群13枚
最小絞りF16
最短撮影距離0.875m
フィルタ径82mm
全長138.9mm
最大径91.4mm
重量1220g

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以下の分析リストでは、記事索引が簡単です。

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