シグマ Art 135mm F1.8の性能分析・レビュー記事です。作例写真は準備中です
レンズの概要
SIGMAが誇るArt大口径単焦点シリーズのなかでも焦点距離が最長となるレンズです。(2020年執筆現在)
現在のところフルサイズArtシリーズの単焦点のFnoは基本的にF1.4ですが、このレンズだけF1.8となっています。
大口径のレンズは焦点距離が長いほど径が大きくなりますし、大きさだけでなく重量への影響が甚大となります。
そのためか、流石のSIGMAでも135mmF1.4の仕様には無理があるとの判断でしょうか?Fno1.8と少々抑えてきました。
100mmF1.4のレンズは重量1.6Kgに三脚座付きに対して、こちらは重量1.2KgほどですからF1.4化しても3.0Kgには収まりそうな気配ですが…
ま、3kgともなれば超望遠レベルですね。
Fnoが1.8とは言え焦点距離が長い分でのボケも加算されますからボケ量としては一概にどちらが良いとは言い難い点ではあります。85mmを所有するなら焦点距離をだいぶずらしたこの135mmを追加で所有するのも良い選択でしょう。
そもそも郷愁を感じる135mm自体を好まれる方も多いでしょうし…
このレンズは新しいのでこちらに情報があります。
私的回顧録
私としては焦点距離135mmというのは初めて使った望遠レンズの焦点距離なので思い入れが深い仕様です。
しかし、望遠ズーム全盛の現代では中途半端な仕様となるのか、近年はあまり意欲的な新製品が無いような…
SIGMA以外のメーカーからも新製品を期待したいところです。
さて、今回も「SIGMA 35mm F1.4 Art」の記事から引き続きArtシリーズの単焦点を分析します。
これは現代的な光学設計値の基準作り(ベンチマーク)を行うための取り組みの一環になります。SIGMAのArt単焦点レンズは「性能重視、大きさ度外視」という非常にわかりやすいコンセプトで設計されておりベンチマークの基準として扱いやすいというのが理由です。
焦点距離35mmからスタートし、一部順不同ながら焦点距離の長い側へ解析を進めてきましたが、ようやく長い側の終端となります。
文献調査
さて特許文献を調べると現代の製品なので関連すると思われる特許が簡単に見つかりました。
残念ながらHPで公開されている製品図と完全一致する断面図のデータはありません。
しかし、特開2017-173409実施例4が基本的な構成が、ほぼ同一なのでこれを設計値と仮定し、設計データを以下に再現してみます。
なお、製品と特許データの一番の違いは特許では絞り像側の接合レンズを三枚貼り合わせとしていますが、製品は2枚接合と単玉に分離している点が異なります。
!注意事項!
以下の設計値などと称する値は適当な特許文献などからカンで選び再現した物で、実際の製品と一致するものではありません。当然、データ類は保証されるものでもなく、本データを使って発生したあらゆる事故や損害に対して私は責任を負いません。
設計値の推測と分析
性能評価の内容について簡単にまとめた記事は以下のリンク先を参照ください。
光路図

上図がSIGMA Art 135 F1.8の光路図です。
9群13枚、非球面レンズの採用は無いようですが、色収差を良好に補正するための特殊低分散材料も4枚配置しています。
前回分析したSIGMA100mmF1.4に比較すれば構成枚数が少ないので、少々豪華な中望遠といった雰囲気です。
縦収差
球面収差、像面湾曲、歪曲収差のグラフ

球面収差 軸上色収差
Fnoを1.8にしているとは言え、SIGMA100mmF1.4と同レベルに美しく補正されているようです。
像面湾曲
最周辺の像高部でわずかにタンジェンシャルとサジタルのズレがありますが画面の隅での話ですから写真としての影響は軽微でしょう。
歪曲収差
望遠系なのでほんのわずかに糸巻き型ですが、絶対値的には写真に影響するレベルではありません。
倍率色収差

かなり理想的な補正が行われています。
F線(水色)とc線(赤)が極小で若干g線(青)がわずかに残っている状態ですが、視感度の低いg線はさほど写りに影響しませんから実写で色収差を感じることは無さそうです。
横収差

Fnoを1.8に抑えた影響が大きいようでサジタルの収差は非常に小さく収まっています。
タンジェンシャル方向はハロが残りますが、私の再現データに多少は不備もあるかもしれません。前玉をもう少し小さくすべきだったかも。
レンズの特許にはレンズの口径データ記載されていないので予測で入力する必要があり、この予測精度が低いと横収差でのハロ・コマが増大しやすいためです。
スポットダイアグラム

タンジェンシャル方向のスポットは散らばりが少し大きいですが密度は低いので問題になるほどでは無さそうです。Fnoを1.8と控えめにしていることもありサジタル方向は良くまとまっています。
MTF
開放絞りF1.8

開放Fno1.8の状態では中間像高から湾曲成分があり、山の頂点がずれています。ただし、十分に高いレベルでの事なので実写に影響を感じるほどでは無さそうです。
小絞りF4.0

Fno4.0に絞ったMTFです。像面湾曲は改善しませんが、山の高さが上がるので写真自体の解像性能は改善します。
十分に高性能なレンズでありますが、やはり100mmF1.4の衝撃的な高性能差の後では若干感動が薄い気がします…贅沢な病に感染したのかもしれません。
しかしながらArtの中ではコンパクトですし、135mmの独特の画角も捨てがたいので悩みは尽きませんね。
総評
作例制作後に記載いたします。
作例
SIGMA Art 135 1.8の作例は準備中です。
SIGMA製品で作例のある物はこちらのリンクにまとめてありますのでご参照ください。
リンク:作例ギャラリーSIGMA
価格調査
製品仕様表
SIGMA Art 135 1.8製品仕様一覧表(Lマウント用)
画角 | 18.2度 |
レンズ構成 | 10群13枚 |
最小絞り | F16 |
最短撮影距離 | 0.875m |
フィルタ径 | 82mm |
全長 | 138.9mm |
最大径 | 91.4mm |
重量 | 1220g |
他の製品分析記事をお探しの方は以下の目次ページをご参照ください。
リンク:レンズ分析目次