レンズ分析

【レンズ性能評価】OLYMPUS Zuiko 24mm F2.8 -分析084

オリンパス OMマウント用 ズイコー 24mm F2.8の性能分析・レビュー記事です。

レンズの仕組みやその性能は一体どう違うのか、具体的な違いがほとんどよくわかりませんよね。

雑誌やネットで調べても似たような「口コミ程度のおススメ情報」そんな記事ばかりではないでしょうか?

当ブログでは、レンズの歴史やその時代背景を調べながら、特許情報や実写作例を元にレンズの設計性能を推定し、シミュレーションによりレンズ性能を技術的な観点から詳細に分析します。

一般的には見ることのできない光路図や収差などの光学特性を、プロレンズデザイナー高山仁が丁寧に紐解き、レンズの味や描写性能について、深く優しく解説します。

世界でこのブログでしか読む事のできない特殊情報をお楽しみください。

作例写真をお探しの方は、記事末尾にありますのでこのリンクで移動されると便利です。

レンズの概要

OMマウント用Zuikoレンズは、中望遠から広角までの焦点距離レンジにおいては2系統のFno仕様でラインナップされています。

Fnoの仕様は、通常はF2.0の大口径と、F2.8の中口径が用意れています。

焦点距離24mmのレンズもF2.0とF2.8が用意されており、中口径のF2.8の方が一般的に銘玉とされています。

フィルム時代の大口径レンズはシャッター速度を稼ぐことが主目的であり、開放での描写性能は少々劣ることも一般ユーザーまで織り込み済みな事です。

しかし、高価なF2.0大口径よりもお安いF2.8の方が解像度高いことを見せつけられると、どうしても銘玉と呼びたくなるのも人情と言うものでしょうか。

Zuiko 24mm F2.8は、現代的な感覚で見るとパンケーキレンズ的な小振りで可愛らしい見た目ですが、開放から十分に使える解像度の頼れるレンズです。

私的回顧録

『第003話 中古』

 関連記事:前回のお話「第002話」はこの記事にあります。

「この線路をずっと行けば、東京へ続いている」

東京のカメラメーカーを受験することが決まり、初めての上京準備を始めた高山には、もう一つの目的があった。

東京土産に中古レンズを買って帰る。

当時の高山が住むような地方都市での中古カメラ市場はまだ未熟で、何しろ商品の流通量が少なかった。

その一方、"夕日カメラ"などの雑誌をめくると巻末には東京の中古カメラ屋の広告がたくさん掲載されており活況を呈していた。

その中古店の広告には小さな文字で在庫レンズと価格がびっしりと書き込まれていた。

バイトが暇なときなどに隅々まで価格の数値を眺めた。

高山は、若者には珍しく東京に憧れが無い、唯一「手軽な値段でレンズが手に入る」そんな点だけ憧れていた。

さて、具体的にどこの店へ行くべきか決めなければ…

「行くなら東京駅の近くか…土地勘が無いので地下鉄には乗れる気がしない」

店の違いも良くわからないが、適当に一軒に絞り込んだ。

毎月雑誌に掲載されている”スキ屋橋カメラ”が良いだろう、近くに他のカメラ店も多くあるようだし。

地図で見るに東京駅と宿泊先の間にあるらしい。

しかし、何も知らないとは恐ろしい、そこはいわゆる銀座のカメラ店だった。

つづく…

 ※本文はフィクションとして実在の人物や団体とは一切の関係が無いように配慮し記載しております。


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文献調査

Zuiko 24mm F2.8の発売時期の正確な情報がつかめなかったのですが、OMシステムの開祖となるOM-1(当初M-1)が発売されたのは1972年ですから、当レンズの発売は70年代だろうとは推定されます。

日本の特許情報システム上、1970年より前に出願された特許文献は電子化されていない物が多く、調査が難航し当初はあきらめていました。

しかし、米国には奇特な方が多いので、米国特許文献をメモされている方がおり、情報を得ることができました。

発見した米国文献US3884556には多数の24mmレンズ実施例が記載されていますが、形状が酷似する実施例4を製品化したと仮定し、設計データを以下に再現してみます。

!注意事項!

以下の設計値などと称する値は適当な特許文献などからカンで選び再現した物で、実際の製品と一致するものではありません。当然、データ類は保証されるものでもなく、本データを使って発生したあらゆる事故や損害に対して私は責任を負いません。


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設計値の推測と分析

性能評価の内容などについて簡単にまとめた記事は以下のリンク先を参照ください。

 関連記事:光学性能評価光路図を図解

光路図

上図がOLYMPUS Zuiko 24mm F2.8の光路図になります。

7群8枚構成、非球面レンズやEDガラスのような近代的な特殊材料は採用されていません。

さすがに同メーカーだけあり、過去に分析したZuiko 35mm F2.0とだいぶ似た形状となっています。

被写体側に凹レンズの多いレトロフォーカスタイプですが、第1レンズは凸レンズとしています。

第レンズを凸レンズとした方がレンズ径を小さくしたり、全長を短くするには効果的ですが、収差の補正的な観点では補正に少々難儀するイメージがあります。

一方の似た時代のレンズとして、過去に分析したNIKON 24mm F2.8は第1レンズを凹としています。

真逆の設計観点的を持つ2つのレンズを比較されるのも面白いかと思いますので是非ご覧ください。

縦収差

左から、球面収差像面湾曲歪曲収差のグラフ

球面収差 軸上色収差

球面収差から見てみましょう、上端付近でふくらみをもつフルコレクション形状をしています。絞りを小さく絞り込んだ時にも像面湾曲とのバランスを取る配慮でしょう。

軸上色収差は広角レンズは発生量が少なくなることもあり、適正程度に補正されています。

像面湾曲

像面湾曲は全体にマイナス側に倒れているものの球面収差もマイナス側に倒れているので、収差は残しつつも全体としてバランスは練られているようです。

歪曲収差

歪曲収差は最大部でも3%ほどの樽型形状です。安価なズームレンズよりは良い程度の適正なレベルです。

倍率色収差

倍率色収差は画面中間の像高12mmあたりまではふくらみはあるものの、ある程度抑えられています。

g線は画面隅の像高21mmではグラフのスケール外まで飛んでています。

しかし、フィルム時代の現像やプリントの関係を考えると、フィルムサイズとプリントサイズのズレから画面隅はカットされるため、一般人は目にする機会が無く、さほど問題にはならないはずです。

自家現像で隅が写るように印刷すればわかるはずですが…

同時代のNIKON 24mm F2.8は全体が平均的になるようにしているので思想の違いがよく読み取れます。

横収差

タンジェンシャル、右サジタル

横収差として見てみましょう。

横収差のタンジェンシャル方向を見ると、コマ収差(非対称性)は構成枚数を考慮すればよくまとまっています。

ハロ(傾き)は少々残るものの、これはピントを補正していると思われMTFの山の位置で最終的にみてゆく必要があります。


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スポットダイアグラム

スポットスケール±0.3(標準)

ここからは光学シミュレーション結果となりますが、最初にスポットダイヤグラムから見てみましょう。

標準スケールでも、画面隅の像高21mmでは倍率色収差の影響で色ごとにスポットがかなり分離している様子がわかります。

画面の中心では少々g線(青)が目立つ程度で良好です。

スポットスケール±0.1(詳細)

こちらはスケールを変更し拡大表示しています。

他の製品の分析記事と合わせるために用意したのですが、この年代のレンズには厳しい評価ですね。

MTF

開放絞りF2.8

最後にMTFによるシミュレーションの結果を確認してみましょう。

開放FnoでのMTFは、画面中心から中間の像高12mmまでは山の一致度も良く確かに銘玉と言われる由縁を感じます。

画面の周辺でも山位置は大きくずれるものの、タンジェンシャルとサジタルをうまくバランスさせ中心に対して左右にバランス良く残していることがわかります。

小絞りF4.0

F4まで絞れば画面中心から中間の像高12mmまでは十分な解像感が得られるでしょう。

周辺部は大きく改善とはいきませんが、効果はわかる程度の改善は期待できます。

総評

現代的なレンズとは異なり、一見すると滅茶苦茶な収差図のようにも見えるのですがMTFを確認してみると見事なバランスに収めているようです。

収差を残しつつも画質を向上させる確かな技術が1970年代には確率されていたわけです。

また、発売時期の近いNIKON 24mm F2.8などと比較してもその思想の違いが鮮明で驚くばかりです。

近年は特殊材料を多用した収差をゼロにするだけのレンズで溢れかえっていますが、このような収差を楽しめるレンズも時には発売してほしいものですね。


作例・サンプルギャラリー


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製品仕様表

製品仕様一覧表 OLYMPUS Zuiko 24mm F2.8

画角84度
レンズ構成7群8枚
最小絞りF16
最短撮影距離0.25m
フィルタ径49mm
全長31mm
最大径59mm
重量185g
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