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【光学エンジニアの解説】RICOH GRシリーズの比較-分析055

コンパクトカメラの名機リコー GRシリーズの性能分析・レビュー記事です。

さて、写真やカメラが趣味の方でも、レンズの仕組みや性能の違いがよくわからないと感じませんか?

当ブログでは、光学エンジニアでいわゆるレンズのプロである私(高山仁)が、レンズの時代背景や特許情報から設計値を推定し、知られざる真の光学性能をやさしく紹介します。

当記事をお読みいただくと、あなたの人生におけるパートナーとなるような、究極の1本が見つかるかもしれません。

レンズの概要

RICOH GRシリーズと言えば、執筆現在(2021年)においてもコンパクトカメラの販売ランキングの上位に常駐し、名機と言われるカメラシリーズであります。

GRのレンズは、いくつかのバリエーションがあるものの換算焦点距離28mm F2.8の仕様がスタンダードとなっています。

まずは、GRカメラシリーズの歴史を振り返ってみましょう。

フィルム時代のGR

1996年、フィルム終盤の時代に初代GRが発売されました。初期のレンズ仕様は焦点距離28mm F2.8。

 ※当記事では、この製品を「フィルムGR1」と記載します。

フィルムGR1には、いくつかの派生製品がありますが、レンズの仕様としては28mm F2.8、30mm F3.5、21mm F3.5の計3種類が存在し、レンズ単体でもライカマウントで販売されています。

GRデジタル

2005年、コンパクトデジカメ絶頂期にGRデジタルとして復活を果たします。ただし、GRデジタルシリーズは、撮像素子(CCD)のサイズが1/1.7型でした。

このサイズは、当時のコンパクトカメラとしては大き目の部類ですが、35mmフィルムサイズの1/6ほどと小さなセンサーでした。

当時のカメラ市場では異色の高級コンパクトと言う存在でしたが、続々と後継製品が発売され長く市場で愛されました。

APS-GR

2013年、デジタル一眼レフ隆盛の時期、GRデジタルの第5世代機からリニューアルが行われました。

この時、撮像素子(CMOS)をAPS-Cサイズへ大幅アップし、35mmフィルムにかなり近づきました。

さらに、初代フィルムGRに劣る点が無いと意味なんでしょう、名称も「GR」へ戻りました。

※当記事ではAPS-GR1と記載します。

APS-GR1は、換算焦点距離でフィルムGRと同じ28mm F2.8の光学仕様となっており、APS-GR2も同じ光学系です。

APS-GR3は同仕様ながら光学系はリニューアルされています。

なお、過去にフルサイズとAPS-Cサイズでは光学系にどのような違いが発生するのか、記事にまとめておりますので参考にご覧ください。

関連記事:センサーサイズとレンズサイズ

当記事で分析するGR

RICOH GRシリーズの主なカメラ一覧です。発売年と撮像素子のサイズを記載しています。

  • 1996年 フィルム GR1
  • 2005年 1/1.7型 GRデジタル1
  • 2007年 1/1.7型 GRデジタル2
  • 2009年 1/1.7型 GRデジタル3
  • 2011年 1/1.7型 GRデジタル4
  • 2013年 APS-C GR1 (第5世代)
  • 2015年 APS-C GR2 (GR1と同レンズ)
  • 2018年 APS-C GR3

 は今回の比較分析対象です。

当記事では、製品の混同を防ぐため正式名称とは少し変えてありますのでご了承ください。

また、本来の製品番号はローマ数値表記(GRII,IIIなど)ですが、見づらいためアラビア数値(GR2,3)としています。第5世代GRには番号は付きませんが、記事の見やすさのため1を付記します。

当記事の狙いは、35mmフィルム時代の元祖GRと、APSサイズとなった最新GRの2種、計3本のレンズを比較分析し、GR光学系の進化と発展の歴史をたどりたいと考えています。

私的回顧録

今回は初のコンパクトカメラ分析記事と言うことで、当記事制作に至る経緯を少し紹介したいと思います。

当ブログでコンパクトカメラを取り上げなかったのは「構成図(断面図)が公開されていないから」です。

構成図が不明であると、特許情報と比較してもどれが設計値に近いのか判別が難しいためです。

構成図とは、レンズを縦に割った断面形状の図で、製品カタログなどにも記載され、当ブログのレンズ分析記事では光の経路も合わせて描いた「光路図」としていつも紹介していますね。

関連記事:光路図を図解する

そもそも構成図を表記する慣例がいかにして生まれたのか、そこから説明しましょう。

話は遥かな昔(戦前)から始まります。

当時のレンズの構成は、2枚~6枚ぐらいが一般的な時代です。

また、カメラや交換レンズの製造を行うメーカーも多数生まれました。

戦後の復興期にはカメラやレンズのメーカー名の頭文字を並べるとJ,U,Xを除きA~Z全てあった言われています。

 出典:カメラと戦争 小倉磐夫著

そんな時代において、自社のレンズが他社品よりも性能が良いことを誇示するために、レンズ構成図を公開する行為が始まりました。

当時はレンズの構成枚数が少ないわけですから「レンズが1枚多いから高性能だろう」とか「あのレンズと同じ形だから性能も同じか?」などの目安になったのです。

レンズ構成の種類も多い時代ではないので、ちょっとした愛好家なら構成図から多くの情報が得られたわけです。

また、当時のカメラとは最先端技術であり、カメラの購入者とは「最先端技術の専門家」であったことも理由のひとつでしょう。

他にもカメラ1台で家が買えた時代ですから、買う方も真剣勝負だったことも重要な要素だったでしょうか。

その後、時代が進み、カメラが大衆化するとコンパクトカメラでは構成図が表記されることは減っていきました。

大衆化により、構成図を見てもさっぱりわからない人が大多数を占めるようになったためでしょう。

そして現在、コンパクトデジカメの構成図を記載するメーカーはほとんどありません。

一方で、レンズ交換式カメラでは構成図を表示する文化が残り、構成図や特許情報を基にして当ブログが成立しているわけです。

逆に言うと、構成図の公開されないコンパクトカメラは、当ブログでも分析が非常に難しいと言う事情があり、通常の分析記事では取り扱うことがありません。

ただし、このGRシリーズは、高級コンパクトを標榜しているだけあり、レンズ構成図が公式ホームページに記載されております。

そのおかげで、今回初めてコンパクトカメラの分析記事発行の運びとなりました。

文献調査

公開されている構成図を元に、調査しましたところ以下の特許文献が製品に類似することがわかりました。

これらを製品化したと仮定し、設計データを以下に再現してみます。

 関連記事:特許の原文を参照する方法

!注意事項!

以下の設計値などと称する値は適当な特許文献などからカンで選び再現した物で、実際の製品と一致するものではありません。当然、データ類は保証されるものでもなく、本データを使って発生したあらゆる事故や損害に対して私は責任を負いません。

レンズレビュー公認レンズクリーナー:公認の秘密はこちら

設計値の推測と分析

性能評価の内容などについて簡単にまとめた記事は以下のリンク先を参照ください。

 関連記事:光学性能評価光路図を図解

光路図

フィルムGR1

上図がリコー GRシリーズの始祖フィルム時代の初代GR1の光路図です。仕様は焦点距離28mm F2.8の広角レンズです。

その他のレンズ分析記事をお探しの方は、分析リストページをご参照ください。

以下の分析リストでは、記事索引が簡単です。

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  • この記事を書いた人

高山仁

光学設計一筋40年を超えるの世界屈指のプロ光学設計者。 さてその実態は零細光学設計事務所を運営するやんごとなき窓際の翁にしてレンズレビュー・コンソーシアム会長。 当ブログへのリンクや引用はご自由にどうぞ。 更新情報はXへ投稿しております。

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