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【光学エンジニアの解説】RICOH GR3x 26mm F2.8 -分析062

リコー GR3x 26mm F2.8の性能分析・レビュー記事です。

さて、写真やカメラが趣味の方でも、レンズの仕組みや性能の違いがよくわからないと感じませんか?

当ブログでは、光学エンジニアでいわゆるレンズのプロである私(高山仁)が、レンズの時代背景や特許情報から設計値を推定し、知られざる真の光学性能をやさしく紹介します。

当記事をお読みいただくと、あなたの人生におけるパートナーとなるような、究極の1本が見つかるかもしれません。

作例写真は準備中です。

レンズの概要

RICOH GRは、リコーが誇る伝統的なコンパクトカメラのシリーズ名であり、GR3xはシリーズの3代目の亜種で、従来の主力系GR製品とはレンズの仕様が異なる特別バージョンです。

過去のGRシリーズのレンズの仕様は、ほとんどがフルサイズ換算の焦点距離で28mm相当の広角レンズを基本とし、銀塩フィルム時代の製品では21mmや35mmの別仕様もわずかにはありました。

このRICOH GR3xの光学系は、焦点距離26mm Fno2.8のAPSサイズセンサ仕様ですから、フルサイズ換算で焦点距離は40mm相当となり、GRシリーズでは初の標準域の焦点距離となっています。

当ブログでは過去のGRシリーズのレンズをまとめて比較分析しておりますので、ご興味のある方は以下のリンク先も合わせてご参照ください。

 関連記事:RICOH GRシリーズの比較

私的回顧録

当記事で分析するRICOH GR3xの焦点距離はフルサイズ換算で40mmですが「なぜ40mmを採用したのか?」これはなかなかに興味深い選択です。

なぜ50mmが標準なのか?

標準レンズとは一般に焦点距離50mmですが、35mmの方が適切だと思う方も多いと思います。

この50mm派と35mm派の論争を見ておりますと「喧嘩両成敗で40mmほどにすればよいのに…」と、平和的レンズ主義者の方はそう思われるのではないでしょうか?

まず、焦点距離50mmが標準レンズとされるのは、135フィルムカメラの始祖であるライカを創造したオスカー・バルナック氏が最初のライカ用レンズとして採用したのが50mmであることに由来しています。

しかし、ここで論争の原因となる大変に残念な事態が起こりました、それは「50mmレンズを採用した理由」が残っていないのです。

そのため、これまで「これこそ採用理由ではないか」としていくつかの説が挙げられても決定打が無く、現代にも続く標準レンズ論争に繋がっているのです。

ここで、カメヲタたちの心理を推察しますと「技術的に高度な考察の結果として50mmが標準として選ばれた」と思いたいわけですが、事実としては写真が好きだったオスカー・バルナック氏ですから単に「50mmの画角が好きだった」でも別に不思議ではありません。

もしくは「予算内にできたのが50mmだった」などの経済的な問題が関与している可能性もまったく否定できないでしょう。

それゆえに標準レンズ論争は永遠に続くわけです。

また、ライカの50mmレンズは、正確な焦点距離は51.6mmであることも有名な逸話です。

これもまた、同様に51.6mmとなった理由は残されていないようです。

よって51.6mmと中途半端に感じるその数値に「なんらかの深い意図があり、50mmを標準として決定したのではないか」と深読みする方も多く、深読みに次ぐ深読みでまたまた標準論戦は深まっていくのであります。

レンズの設計を生業としている私からすると、50mmぐらいで設計してみて「性能が出しやすいのが51.6だった」だけのような気もしますが…

対角線由来説

標準50mmに対する正確な由来は失われているのですが、諸説ある仮説の中で、唯一数値的な根拠があるのが「撮像素子の対角線長さに一致させた」と言う説があります。(対角線由来説)

いわゆる35mm版フィルム(135フィルム)の対角線長さは確かに50mmに近い数値と言えます。

また、対角線長さに一致した焦点距離を標準レンズにすると、フルサイズでも中判でも大判でも画角としては同じ仕様のレンズが選定されますし、広角でも望遠でも無い中間的な焦点距離が選定されるので、標準と呼ぶにふさわしい雰囲気です。

しかし、対角線由来説を信じるには少々疑問も残ります。

では以下の図をご覧ください。フルサイズセンサの寸法模式図です。

フルサイズの対角線は43mmです。

という事は、対角線由来説によれば標準レンズは焦点距離は43mmにしなければならないのにライカのレンズ焦点距離は51.6mmと、誤差とは言いづらい量のズレがあります。

GR3xは真の標準レンズを追求したのか?

さて、答えの無い議論は終わらないのでここまでとしますが、対角線由来説を信じると焦点距離40mmと言うのは「真の標準レンズ」であるとも言えます。

ここでレンズ交換の効かないカメラ一体型のRICOH GRへ40mm(相当)のレンズを搭載してきたということは、当然ながら「真の標準」というものを強く意識した結果なのでしょう。

 ※すべて勝手な憶測です。

では具体的に「真の標準レンズの性能」を見て参りましょう。

文献調査

日頃の特許パトロールの中で、なにやら不審な単焦点レンズの特許出願がRICOHから行われていることを認識しておりましたが、まさかGRに採用することを想定していたとは流石の私でも気が付きませんでした。

RICOH RG3xの発売が発表され、同時に情報の中にはレンズの構成図も含まれておりますから簡単に判明しました。

RICOH RG3xの関係特許は特開2020-144271でしょう。その中でも見た目的には実施例4が近そうですから、これを製品化したと仮定し、設計データを以下に再現してみます。

 関連記事:特許の原文を参照する方法

!注意事項!

以下の設計値などと称する値は適当な特許文献などからカンで選び再現した物で、実際の製品と一致するものではありません。当然、データ類は保証されるものでもなく、本データを使って発生したあらゆる事故や損害に対して私は責任を負いません。

レンズレビュー公認レンズクリーナー:公認の秘密はこちら

設計値の推測と分析

性能評価の内容などについて簡単にまとめた記事は以下のリンク先を参照ください。

 関連記事:光学性能評価光路図を図解

なお、本レンズはAPS-Cサイズのレンズとなりますが、フルサイズレンズと比較を容易とするためグラフ類のスケールをフルサイズレンズとそのまま比較できるように調整しています。

イメージ的に表現すると、もしもフルサイズセンサ用に拡大したらこうなる、と言う関係になるようグラフの尺度を変更してあり、光学系としては並べて評価が可能となります。

注意事項としては、レンズ的(光学的)にはこの評価で特に問題はありませんが、実際の写真としてはセンサの小さいカメラはノイズや画素数の点で大判には劣ります、そこは加味しておりませんのご注意ください。

詳細については下記の記事もご参照ください。

 関連記事:センサーサイズとレンズサイズ

光路図

上図がRICOH GR3x 26mm F2.8の光路図になります。

その他のレンズ分析記事をお探しの方は、分析リストページをご参照ください。

以下の分析リストでは、記事索引が簡単です。

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  • この記事を書いた人

高山仁

光学設計一筋40年を超えるの世界屈指のプロ光学設計者。 さてその実態は零細光学設計事務所を運営するやんごとなき窓際の翁にしてレンズレビュー・コンソーシアム会長。 当ブログへのリンクや引用はご自由にどうぞ。 更新情報はXへ投稿しております。

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