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【深層解説】 シグマ大口径広角レンズ SIGMA Art 24mm F1.4 DG HSM-分析013

この記事では、シグマの一眼レフカメラ用の交換レンズである大口径広角レンズ 24mm F1.4 DG HSMの歴史と供に設計性能を徹底分析します。

さて、写真やカメラが趣味の方でも、レンズの仕組みや性能の違いがよくわからないと感じませんか?

当ブログでは、光学エンジニアでいわゆるレンズのプロである私(高山仁)が、レンズの時代背景や特許情報から設計値を推定し、知られざる真の光学性能をやさしく紹介します。

当記事をお読みいただくと、あなたの人生におけるパートナーとなるような、究極の1本が見つかるかもしれません。

作例写真をお探しの方は、記事末尾にありますのでこのリンクで移動されると便利です。

レンズの概要

各社のマウントに対応した製品を販売する老舗レンズメーカーのひとつSIGMAは、2012年より「怒涛の超高性能Art」「超快速超望遠Sports」「小型万能なContemporary」と、わかりやすい3つのシリーズで製品を分類し構成しています。

その中でもArt(アート)シリーズは、超高性能を前提に金属部品を多用した高剛性、かつ端正なデザインの重厚長大なフラッグシップレンズです。

本項で紹介する24mm F1.4 DG HSM Artは大口径広角レンズでありながら極めて高い解像性能を誇るレンズです。

この24mm F1.4は、SIGMAが誇るArt大口径単焦点シリーズの中で初期に開発された広角側レンズです。

Artシリーズの単焦点は35mm→50mm→24mmの順で販売されているので、Art最初の本格広角レンズとも言えそうです。

近年のズームレンズは広角端が24mmの物が多くなりましたし、スマートフォンの光学系も広角化が進み24mmあたりが一般的となりました。

近代の標準レンズの焦点距離は、実は24mmなのではないか?そんな疑惑も生まれます。

それでは人類史上最も人気のある焦点距離と言っても過言では無い24mmの大口径レンズをしっかりと分析して参りましょう。

なおこのレンズは、各社マウントに対応した専用モデルがありますが、一眼レフカメラ用のマウントの製品はマウントアダプターを利用することで、ミラーレス一眼カメラにも使用できます。

文献調査

さて特許文献を調べると現代の製品なので関連すると思われる特許が簡単に見つかりました。特開2016-12034の複数の実施例が製品の形状と似ていますが実施例1を設計値と仮定し、設計データを以下に再現してみます。

この特許文献のほとんどの実施例は、フローティングフォーカスと言う複数のレンズ群でピント合わせを行うタイプでした。

製品のHPにはフローティングフォーカスとは記載されていませんでしたが、大多数の実施例がフローティングフォーカスなのでそちらを設計値としました。

!注意事項!

以下の設計値などと称する値は適当な特許文献などからカンで選び再現した物で、実際の製品と一致するものではありません。当然、データ類は保証されるものでもなく、本データを使って発生したあらゆる事故や損害に対して私は責任を負いません。

設計値の推測と分析

性能評価の内容について簡単にまとめた記事は以下のリンク先を参照ください。

 関連記事:光学性能評価光路図を図解

光路図

上図がSIGMA Art 24 F1.4の光路図です。

レンズの構成は11群15枚、非球面レンズは2枚採用、色収差を良好に補正するための特殊低分散材料を7枚配置しています。

Fno1.4の大口径広角ですから一般的な焦点距離24mmのレンズとしては構成枚数が多いですが、Artシリーズの初期品のためか後発の28mmと比べると枚数や非球面が少なく、サイズもArtにしては小振りな印象です。

まだ性能全振り的な方向に迷いのあった時期だったのでしょうか?

縦収差

球面収差像面湾曲歪曲収差のグラフ

球面収差 軸上色収差

Artレンズの初期品とは言え、画面中心の解像度とボケ味の指標である球面収差や、画面の中心の色にじみを表す軸上色収差は十分に補正されているようです。

像面湾曲

画面全域の平坦度の指標の像面湾曲は、若干変動が大きいようです。やはりArtといえど広角レンズの像面湾曲を抑えるのには苦労している様子が滲みます。

歪曲収差

画面全域の歪みの指標の歪曲収差は、若干のマイナス側の補正残りで樽型の歪曲となりますが、個人的には2.5%以下であれば気になることはありません。

倍率色収差

画面全域の色にじみの指標の倍率色収差も、、十分補正されているようですが、前回解析した28mmに比較すると像高の高い領域で変動が大きくなっています。

横収差

画面内の代表ポイントでの光線の収束具合の指標の横収差を見てみましょう。

 一般的な広角大口径に比較すればだいぶ補正されてはいますがサジタル方向のフレアが大きいです。サジタルフレアは絞ると改善する収差なので個人的にはこの程度なら気にはしませんが、星などを撮る人は気になるでしょうね。

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スポットダイアグラム

スポットスケール±0.3(標準)

ここからは光学シミュレーション結果となりますが、画面内の代表ポイントでの光線の実際の振る舞いを示すスポットダイアグラムから見てみましょう。

横収差でもわかりましたが、高い像高のサジタルフレアが影響しスポットが横方向に広がっています。

スポットスケール±0.1(詳細)

さらにスケールを変更し、拡大表示したスポットダイアグラムです。

Artレンズと言えどさすがに広角レンズの最周辺部には若干の甘さが残るようですね。

重箱の隅の話ですが。

MTF

開放絞りF1.4

最後に、画面内の代表ポイントでの解像性能を点数化したMTFによるシミュレーションの結果を確認してみましょう。

像面湾曲の変動の通りで、画面周辺に向かってMTFが低下していくようです。Artレンズ同士で比較しなければわからないレベルの高性能ではあります。

小絞りF4.0

FnoをF4まで絞り込んだ小絞りの状態でのMTFを確認しましょう。一般的には、絞り込むことで収差がカットされ解像度は改善します。

像面湾曲は改善しませんが、山の高さが上がるので写真自体の解像性能は理想値レベルに改善します。

総評

Artレンズでは初期シリーズの製品とは言え、実用上の差は感じられない極めて高い解像感のレンズです。発売から少し時間も経ちましたから値段もだいぶこなれています。

しかし、あまりに高い解像度に目が痛くなりそうなレベルで、一度使うともう標準ズームレンズの広角端では満足できないカラダにされてしまうかもしれません。要注意のうえご利用ください。

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以上でこのレンズの分析を終わりますが、今回の分析結果が妥当であったのか?ご自身の手で実際に撮影し検証されてはいかがでしょうか?

それでは最後に、あなたの生涯における運命の1本に出会えますことをお祈り申し上げます。

LENS Review 高山仁

マウントアダプターを利用することで最新のミラーレス一眼カメラでも使用できます。

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作例・サンプルギャラリー

SIGMA Art 24mm F1.4の作例集となります。以下のサムネイル画像をクリックしますと拡大表示可能です。署名の下に撮影条件を記載しております。

 

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製品仕様表

SIGMA Art 20 1.4製品仕様一覧表(Lマウント用)

画角84.1度
レンズ構成11群15枚
最小絞りF16
最短撮影距離0.25m
フィルタ径77mm
全長114.2mm
最大径85.4mm
重量755g

その他のレンズ分析記事をお探しの方は、分析リストページをご参照ください。

以下の分析リストでは、記事索引が簡単です。

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