レンズ分析

【レンズ性能評価】SONY Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA -分析058

ソニー Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA(SEL35F14Z)の性能分析・レビュー記事です。

レンズの仕組みやその性能は一体どう違うのか、具体的な違いがほとんどよくわかりませんよね。

雑誌やネットで調べても似たような「口コミ程度のおススメ情報」そんな記事ばかりではないでしょうか?

当ブログでは、レンズの歴史やその時代背景を調べながら、特許情報や実写作例を元にレンズの設計性能を推定し、シミュレーションによりレンズ性能を技術的な観点から詳細に分析します。

一般的には見ることのできない光路図や収差などの光学特性を、プロレンズデザイナー高山仁が丁寧に紐解き、レンズの味や描写性能について、深く優しく解説します。

あなたにとって、良いレンズ、悪いレンズ、銘玉、クセ玉、迷玉が見つかるかもしれません。

それでは、世界でこのブログでしか読む事のできない特殊情報をお楽しみください。

作例写真は準備中です。

レンズの概要

SONY FE 35mm F1.4ZAは、SONYのミラーレス一眼FEマウント用のZEISS銘を謳う大口径広角単焦点レンズです。

ご存じの通り、SONYのFEレンズは4つのグレードに分けられています。

  • ZEISS (ZA,Z)
  • G Master (GM)
  • G
  • 無名

本レンズは、ドイツの名門光学メーカーZEISSの銘を与えられたレンズです。

このZEISSとSONYの関係については過去にSONY FE50mm F1.4の記事でも少し触れましたので参考にご覧ください。

 関連記事: SONY FE 50mm F1.4 ZA

続いて、MINOLTAからSONYへ続く35mm F1.4の仕様レンズの系譜を振り返ってみます。

まずは、MINOLTAの一眼レフ用レンズにおける35mmの大口径はF1.8からスタートしたようですが、オートフォーカスαシステム誕生から2年ほどの時期にF1.4の大口径レンズが登場します。

その後、MINOLTAからSONYへカメラ事業が売却され、現在(2021年)では2本のF1.4レンズが登場しましたが、これを発売年順に並べてみます。

  1. 1987 MINOLTA AF 35mm F1.4
  2. 2006 SONY SAL35mm F1.4G(MINOLTA流用)
  3. 2015 SONY Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA(当記事)
  4. 2021 SONY 35mm F1.4 GM

前回の分析では、世界初の本格的レンズ交換式オートフォーカスカメラ用の①MINOLTA AF 35mm F1.4を分析しましたが、各社がF1.4仕様に頑なに参入しない理由が良くわかりましたね…

なお、②SONY SAL35mm F1.4は実質的にはMINOLTAの流用と推測しています。

 関連記事: MINOLTA AF 35mm F1.4

当記事で紹介するこの③SONY FE 35mm F1.4 ZAは、約30年ぶりのフルリニューアルでありますが、初のSONY製である事に加えて、さらにミラーレス一眼専用として世界初の35mm F1.4仕様であり、二重の意味で歴史的な製品と言っても過言ではないでしょう。

私的回顧録

さて、製品名にある称号の「Distagon」とは1960年代にZEISSが開発した広角高性能レンズ名に由来するものです。

このDistagonは、コンピューターを利用した光学設計が開始された初期頃の物で、 飛躍的に複雑なレンズ構成でありながらコンピューターの演算能力により超高性能を達成したレンズです。

ある説によれば、コンピュータ黎明期の時代において工業界で最もコンピューターの恩恵を享受したとされるのは、光学設計であったと言われています。

光学設計とは、レンズを通過する光の経路の計算を膨大な回数試行しながら、少しづつ収差が少なくなるレンズ形状へ追い込んでいくような計算作業ですから、まさにコンピューターに最適な作業なわけです。

ちなみに国産初のコンピューターは、1956年になんと「富士フィルム」社が”光学設計のために”製作した「FUJIC」とされています。

このFUJICですが、会社から費用を得いていたとは言え、ほとんど個人レベルで製作されたと言われており、そのあまりに早すぎた誕生のためか、あまり日の目を見ていないのは残念なところです。

それこそカメラ好きからならば、ジブリアニメとか、NHK朝の連ドラのテーマにでもしていただきたいのではないでしょうか?

 ※視聴率がなんとも心配ですが…

常識的ではありますが、富士フィルムは現在も続く大企業ですが、もしもFUJICを元にコンピューターの方向へ会社を発展させていれば「IBM」や「APPLE」のような企業になったのかもしれませんから、優秀な技術者がいたとしても会社経営とは難しいものですね。

とは言え、現在(2021年)の富士フィルムの主力事業は、医療用機器や産業用素材となっており、カメラやフィルムの会社であったことが幻のような発展を遂げているわけですから企業の発展とは読めないものですね。

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文献調査

さて、特許文献を調査いたしますとWO2016/056310が関連文献であることがわかります。

しかし、このレンズはドイツの名門メーカーZEISSの名が付いていますが、この特許文献における発明者はお名前的に「純日本人」で「超大手日系メーカー」が権利者のようです。

ツアイスと言う名称は文献には記載されておりませんし、大変流暢な日本語で書かれておりドイツっぽさのカケラもありませんね。

ならば、このレンズは過去の名推理に則り…

SONY FE 50mm F1.4 ZAと同じ手法と看破しましょう。「ドイツで修行してきた」方が帰国し設計したパターンと言うことにします!

これ以上に発言は危険と言うものです。「君子危うきに近寄らず」との先人の知恵に従いましょう。

では形状が良く似る実施例3を製品化したと仮定し、設計データを以下に再現してみます。

 関連記事:特許の原文を参照する方法

!注意事項!

以下の設計値などと称する値は適当な特許文献などからカンで選び再現した物で、実際の製品と一致するものではありません。当然、データ類は保証されるものでもなく、本データを使って発生したあらゆる事故や損害に対して私は責任を負いません。


当記事を読み終えますとレンズを購入したくなる恐れがございますので、事前に防湿庫の増設を検討されることをおススメいたします。

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設計値の推測と分析

性能評価の内容などについて簡単にまとめた記事は以下のリンク先を参照ください。

 関連記事:光学性能評価光路図を図解

光路図

上図がSONY Distagon T* FE 35mm F1.4 ZAの光路図になります。

レンズ構成は8群12枚、3枚もの非球面レンズを配置しており、大口径レンズ特有の球面収差を徹底して除去しようとの意図でしょう。

しかしながら「Distagon」とはそもそもどんな形状を指すのか、説明に困るものです。

ダブルガウスなどの構成は凸レンズ凹レンズの並び順が決まっておりますが、Distagonは構成枚数も多いため厳密に形状を定義するほど決まってはいないのです。

Distagon構成の印象としては「被写体側に凹レンズが連続する非対称な広角大口径レンズ」と、私は認識していますが、このレンズは強い凹レンズが被写体側にあるものの1枚ですね…

世界初のミラーレス一眼用の35mm F1.4レンズだけあって、なかなか独創的な形状と言えるのでしょう。

今後、各社のミラーレス一眼用の同仕様レンズが出そろいますと改めてこのレンズの凄さがより一層わかるのかもしれませんね。

縦収差

左から、球面収差像面湾曲歪曲収差のグラフ

球面収差 軸上色収差

球面収差から見てみましょう、もう気持ちの悪いぐらいの直線です。

当時としては先鋭的だった前製品のMINOLTA AF 35mm F1.4から約30年の時を経て世界初のミラーレス一眼用として誕生した本レンズは、他を圧倒するような性能が求められていたわけですからこの程度は当然なのでしょう。

軸上色収差も十分にバランス良く補正されています。

像面湾曲

像面湾曲は画面中間部の像高12mmあたりでサジタルとタンジェンシャル方向でわずかに乖離があるのが気になりますが、MTFで最終的な特性を判断する必要があるでしょう。

歪曲収差

歪曲収差は広角レンズらしく少々マイナス側に倒れたグラフ形状で樽型になります。

このまま撮影しても違和感があるほどではありませんが、最近のカメラは画像処理によって補正されてしまうのでカメラの設定によっては気づかないかもしれませんね。

倍率色収差

倍率色収差は大きいというほどのレベルではありませんが、 画面中間部の像高10mmあたりでのふくらみが小絞りにするとわずかに目立つかもしれませんが、こちらの倍率色収差も 画像処理によって補正されてしまうのでカメラの設定によっては気づかないかもしれませんね 。

横収差

タンジェンシャル、右サジタル

横収差として見てみましょう。

タンジェンシャル方向のコマ収差、サジタル方向のコマフレア供に大口径レンズの割に劇的に少ないようです。

倍率色収差にも表れていましたが、タンジェンシャル方向のC線(赤)やg線(青)などの色収差成分を見ると画面周辺部の像高18mmを超えるとさすがに大口径広角レンズ特有の苦しさを感じます。


レンズが増えるとケースも必要ですよね。Amazonの格安ケースが手軽でおススメです。

スポットダイアグラム

スポットスケール±0.3(標準)

ここからは光学シミュレーション結果となりますが、最初にスポットダイアグラムから見てみましょう。

標準評価用のスポットスケールでは、ほぼ点サイズに補正されており、一般的な撮影で画面全域において収差感を感じることは無いでしょう。

スポットスケール±0.1(詳細)

MTF

開放絞りF1.4

最後にMTFによるシミュレーションの結果を確認してみましょう。

MTFの山は十分に高く、山の位置も一致していることから画面周辺部に至るまで画質が均質であることがわかります。

過去に分析したSIGMA 35mm F1.4 DG HSMが近い時期に発売された製品でもありますが、一見しますとSIGMAは中心部の性能が高く、SONYは周辺まで均質性が高い用に見えますね。

後日となりますが詳細な比較記事を作成してみたいと思います。

 関連記事:SIGMA 35mm F1.4 DG HSM Art

小絞りF4.0

総評

さてMINOLATAが生み出した世界初のオートフォーカス対応35mm F1.4レンズから約30年の時を経て、SONYによってフルリニューアルされた本レンズですが、劇的な高性能化を達成していることが良くわかりました。

ついでに世界初のミラーレス一眼用の35mm F1.4仕様のレンズでもあり、ミラーレスシステムの良さである広角レンズの高性能化を体現するためのレンズであることは間違いないようです。

目的を違わぬ高性能ぶりに圧倒されました。

当記事はMINOLTAから始まりSONYへ至る35mm F1.4レンズの歴史を総分析するシリーズの一部となっています。

関連記事は以下をご参照ください。

その他、類似仕様のレンズ分析記事はこちらです。

 関連記事:SIGMA Art 35mm F1.4 DG HSM


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作例・サンプルギャラリー

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価格調査

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製品仕様表

製品仕様一覧表 SONY Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA

画角63度
レンズ構成8群12枚
最小絞りF16
最短撮影距離0.3m
フィルタ径72mm
全長112mm
最大径78.5mm
重量630g
発売日2015年6月15日

その他のレンズ分析記事をお探しの方は、分析リストページをご参照ください。

以下の分析リストでは、記事索引が簡単です。

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