分析061 比較 SONY Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA vs SONY FE 35mm F1.4 GM

ソニー FE 35mm F1.4 ZA と ソニー FE 35mm F1.4 GMの性能分析・レビュー記事です。

特許情報や実写の作例から光学系の設計値を推測し、シミュレーションによりレンズ性能を分析します。

世界でこのブログでしか読む事のできない特殊情報をお楽しみください。

レンズの概要

本記事ではSONY系35mm大口径レンズの比較分析としてEマウントミレーレス一眼用に2015年発売されたSONY FE Distagon T* FE 35mm F1.4 ZAと、2021年発売のSONY FE 35mm F1.4 GMの2本のレンズについて、性能の比較分析を行います。

それぞの詳細分析については各記事を参照してください。

 関連記事:SONY Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA

 関連記事:SONY FE 35mm F1.4 GM

まずは簡単に、MINOLTAから始まった世界初のオートフォーカス対応35mm大口径F1.4レンズの系譜についてみて見ましょう。ミノルタから事業譲渡されたSONYから発売のレンズに至るまで、αカメラ用35mm F1.4レンズについて発売年順に並べてみます。

  1. 1987 MINOLTA AF 35mm F1.4
  2. 2006 SONY SAL35mm F1.4G(MINOLTA流用)
  3. 2015 SONY FE Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA
  4. 2021 SONY FE 35mm F1.4 GM

約30年ぶりにリニューアルを果たした③SONY FE 35mm F1.4 ZA(以下ZA)ですが、早くも④FE 35mm F1.4 GM(以下GM)が発売されました。

現時点(2021年)は双方供に継続販売されており、GM発売の意味とはZAリニューアルとしてなのか、GMの方が高位グレードとしての意味なのかは定かではありません。

価格的な意味から推察するに、現行販売されている②~④の3本のレンズはグレードに合わせたかのような「きれいな価格差」となっておりユーザーに広い選択肢を与えるため3本が併売される事を前提とするような配慮にも見えます。

そう考えると、価格から見たグレート的はGMZAとなるので、GMが最上位グレートとなるのでしょうか。

ここで本記事の目的は、性能的な観点としては2つのレンズはどちらが上位ポジションであるのか改めてよく考えてみましょう、となります。

私的回顧録

この記事を含む、分析57~分析61の記事は「2021年夏休みの自由研究」としてシリーズで分析を行いました。

その内容は、オートフォーカス対応35mm F1.4の発展の歴史を追体験すること、がテーマとなっています。

本記事でシリーズは最終となりすので、この欄を使って記事製作について記録しておきたいと思います。

まず、以前からMINOLTA AF 35mm F1.4の分析は行う予定ではありました。このレンズは、世界初のオートフォーカス対応の35mm F1.4レンズでありながら、長い期間比類する製品も無い孤高のレンズであったので、分析テーマには早々にノミネートしておりました。

しかし、どのようなタイミングで分析記事にするべきか悩みずるずると後回しになっていた所でSONYから最新のFE 35mm F1.4 GMが発売され、また同時に関連する特許資料も見つけることができ「これで全て繋がった」となりまして記事製作に至ります。

先の事はわかりませんが、推測するにSONY 35mm F1.4はこの先5年は新製品の発売は無いでしょうから偶然にも最高のタイミングで記事にまとめる事ができました。

改めてMINOLTAから始まりSONYへ至る35mm F1.4 分析記事シリーズのリストです。

では、本題となります「SONY FE 35mm F1.4 ZAGMの性能比較」へまいりましょう。

設計値の推測と分析

性能評価の内容などについて簡単にまとめた記事は以下のリンク先を参照ください。

 関連記事:光学性能評価光路図を図解

光路図

左SONY FE 35mm F1.4 ZA、右SONY FE 35mm F1.4 GM

上図がSONY FE 35mm F1.4 ZAGM光路図になります。

ZAは12枚構成、GMは15枚構成とレンズ枚数は増加したものの、非球面レンズはZA3枚でGM2枚と減少しているようです。

各レンズの個別分析記事で紹介しておりますが、GMレンズは特許文献に記載されたレンズは製品とは少し異なる形態となっておりますのでご注意ください。

本記事のレンズは、特許文献の情報を設計値相当と仮定してまとめております。

ZAは流石ZEISSと言わんばかりの優雅で紳士的な構成となっていますが、GMの構成は攻撃的でいかにも先進性を追求するSONYらしいと言えるのでしょうか。

縦収差

左SONY FE 35mm F1.4 ZA、右SONY FE 35mm F1.4 GM

各図左から、球面収差像面湾曲歪曲収差のグラフ

球面収差 軸上色収差

球面収差から見てみましょう、両者ともに甲乙つけがたいレベルですが、GMの球面収差図の上端部における各色の収束具合には鬼気迫る物を感じます。

軸上色収差は同程度であるようです。

像面湾曲

像面湾曲を見ますと、GMは平均的に全体を小さくまとめるように複雑怪奇にうねるような形状です。

本当に奇怪な特性ですね。

ZAの方は、オーソドックスで自然なカーブを描く特性です。GMにそう劣るわけではありません。

歪曲収差

GM歪曲収差は、広角レンズであるにも関わらず異常な小ささをとなっています。

この設計担当者は、上司にいじめでも受けているのでしょうか?あまりの異常性に少々心配するレベルです。

倍率色収差

左SONY FE 35mm F1.4 ZA、右SONY FE 35mm F1.4 GM

倍率色収差は、ZAは若干中間部にふくらみがありますが、GMでは素直に画面周辺でわずかに大きくなっていく自然な特性です。

横収差

左SONY FE 35mm F1.4 ZA、右SONY FE 35mm F1.4 GM

各図左タンジェンシャル、右サジタル

GMのサジタル方向の特性を見ますと画面周辺までグラフが直線でいわゆるサジタルコマフレアが画面全域でゼロに近い恐ろしい特性です。

ZAのレベルでも決して大きいわけではなく優秀な部類であるのですが、GMの補正レベルが常軌を逸しているのです。

スポットダイアグラム

左SONY FE 35mm F1.4 ZA、右SONY FE 35mm F1.4 GM

スポットスケール±0.3(標準)

スポットスケール±0.1(詳細)

詳細スケールで見てもGMは円状の形を崩しません。ZAは画面隅の像高21mmあたりでは流石に少々苦しくV字状にはなります。

MTF

左SONY FE 35mm F1.4 ZA、右SONY FE 35mm F1.4 GM

開放絞りF1.4

ZAも大口径の仕様を考えれば称賛に値する高性能でありますが、GMそこからさらに一段の進化を遂げているようです。全ての山が高く均一性も向上しています。

小絞りF4.0

F4に絞ると画面中心の性能は両者に差は少ないですが、画面周辺部となりますとGMでは開放からの改善度がより高くなることが観察できます。

総評

さて、改めて比較分析を行いますとFE 35mm F1.4 GMの収差の改善度合いに驚愕いたしますね。

しかもわずかに小型化し重量も軽量になっているようです。ひたすらに高性能なレンズを所望であればこのうえない選択肢でしょう。

近年は35mm F1.4が各社の最上級レンズの代名詞のような扱われ方をしていますから、SONYとしてもGMの銘にふさわしい最上級を体現させたと言うことなのでしょう。

一方のFE 35mm F1.4 ZAもZEISSの銘に恥じない現在でも十分通用する高性能レンズでありながら、値段はだいぶこなれているようです。

どちらを購入するべきか、悩みは尽きませんね。

本記事はMINOLTAから始まりSONYへ至る35mm F1.4レンズの歴史を総分析するシリーズの一部となっています。

関連する分析記事は以下をご参照ください。

作例・サンプルギャラリー

SONY FE 35mm F1.4 ZAとFE 35mm F1.4 GMの作例は各分析記事をご参照ください。


なお本ブログでは、作例写真は全てSILKYPIX 10で現像しております。

SILKYPIX10は、唯一の国産汎用現像ソフトで、多種多様なカメラのRawデータの現像処理が可能、また多彩な機能で効率的な作業を実現します。

私のおすすめポイントをまとめた記事を作成しておりますのでご興味のある方は下記をご参照ください。

 関連記事:SILKYPIX10の特徴やおすすめを紹介

価格調査

SONY FE 35mm F1.4 ZAとFE 35mm F1.4 GMの価格が気になる方へ、有名通販サイトへのリンクを用意いたしました、ぜひ最新価格をご確認ください。

マップカメラ楽天市場店


さて、近年カメラやレンズのレンタルサービスがすっかり一般的になってきました。

下記「GooPass」では、月額固定の会費のみで好きなカメラやレンズを無期限でレンタルができ、追加費用は不要で機材の交換も自由です。

これならば、沼に深く入らずに楽しい撮影ライフが送れるのかもしれませんね。

下の画像をクリックしていただきますとGooPass 公式ページをご覧いただけます。

GooPass|カメラのサブスク月額制入れ替え放題サービス

製品仕様表

製品仕様一覧表 SONY FE 35mm F1.4 ZAとFE 35mm F1.4 GM

FE 35mm F1.4 ZAFE 35mm F1.4 GM
画角63度 63度
レンズ構成8群12枚 10群14枚
最小絞りF16F16
最短撮影距離0.3m0.25m
フィルタ径72mm67mm
全長112mm96mm
最大径78.5mm76mm
重量630g524g
発売日2015年6月15日2021年3月21日

その他のレンズ分析記事をお探しの方は以下の目次ページをご参照ください。

 関連記事:レンズ分析リスト

分析リストでは、メーカーごとに記事を整理分類してあり記事索引が容易です。

最後に、もし本記事を楽しんでいただけましたら下の各種「SNS共有ボタン」にて共有していただけると幸いです。