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【光学エンジニアの解説】 ニコン大口径標準ズーム NIKON Nikkor Z 24-70mm F2.8S -分析075

ニコン ニッコール Z 24-70mm F2.8Sの性能分析・レビュー記事です。

さて、写真やカメラが趣味の方でも、レンズの仕組みや性能の違いがよくわからないと感じませんか?

当ブログでは、光学エンジニアでいわゆるレンズのプロである私(高山仁)が、レンズの時代背景や特許情報から設計値を推定し、知られざる真の光学性能をやさしく紹介します。

当記事をお読みいただくと、あなたの人生におけるパートナーとなるような、究極の1本が見つかるかもしれません。

作例写真は準備中です。

レンズの概要

当記事で紹介するNikkor 24-70mm F2.8E VRは、FnoがF2.8の大口径標準ズームの5代目として発売されたレンズです。

NIKONのF2.8標準ズームレンズについて、前回の記事では先代にあたる4代目の24-70mm F2.8E VRをご紹介しました。

 関連記事:AF-S Nikkor 24-70mm F2.8E VR

まずは、NIKONにおけるF2.8標準ズームレンズの系譜を確認してみましょう。

 ※光学系を流用している製品は除きます。

今回紹介する5代目F2.8標準は、先代と同じく焦点距離域は24-70mmですが、ミラーレス一眼レフカメラシステムである「Zマウント専用」として開発されました。

NIKONのミラーレス一眼レフカメラは、旧来からのFマウントレンズをアダプタを介して装着し使用することが可能です。

しかし、新たなミラーレス専用のZマウントレンズはZシリーズカメラ専用となるため、旧来のNIKON Fマウントカメラには装着できませんのでご注意ください。

これまでのNIKONは、伝統のFマウントを長く維持してきた代償として、構造や組み合わせが複雑となり、他社に比較すると光学性能的に不利な小径マウントと言わざる得ない状況でした。

その厳しい状況から、ミラーレス化と同時に大径のZマウントへ移行したことで「自由度の高い光学設計が可能となった」と言われています。

では、その自由度を存分に生かしたと思われるZ 24-70mm F2.8Sを詳細に分析してみましょう。

私的回顧録

『Fマウントの苦難』

冒頭の説明でも少し説明しましたが、NIKONのFマウントの苦難について少々振り返りましょう。

まずは、Fマウント歴史を極簡単に説明します。

Fマウントを初採用したカメラであるNIKON Fが発売されたのは1959年ですから執筆現在(2021年)から約60年以上前に生まれた仕様です。

当時のカメラとレンズは、機械的な連携のみで成立していました。なにせ「素のNIKON F」は、電池がまったく不要ですから…

その後、70年代には露出制御の自動化対応、80年代にはオートフォーカス化などの難局がありながら、様々な機能を取り込みながらFマウントの形状を維持することに成功しました。

細かく見ますとカメラとレンズの組み合わせによっては動作には難があったりもしますが、約60年に渡り互換性を維持しながら業界の最前線で運用してきたことは称賛されるべき努力ではないでしょうか?

しかしながら、どうしても無視できないのは、マウントの「径」と「フランジバック」の問題です。

マウント径とは、レンズ取り付け部の穴の径です。

フランジバックとは、レンズ取り付け面から撮像素子までの距離になります。

ここで、Fマウントの仕様と、世界初のオートフォーカス対応のカメラシステムを立ち上げたMINOLTAのAマウント(現ソニーAマウント)と比較しましょう。

NIKON Fマウントの径は「44mm」、フランジバックは「46.5mm」です。
MINOLTA Aマウントの径は「50mm」、フランジバックは「44.5mm」です。

Aマウントはオートフォーカスなどのカメラシステムの電化を見越し、大型なマウント仕様を採用しました。

Aマウントに比較すると、Fマウントは一回りも径が小さいだけでなく、2mmほどですがフランジバックも長く、両方とも不利なのです。

また、マウントの径は少しわかりやすい例を出しますと、APS-Cサイズ撮像素子であるFujiFilme Xマウントの径「43.5mm」ですから、NIKON Fマウントの径はフルサイズ用でありながら現代のAPS-Cサイズカメラほどのマウント径なのです。

過去の記事でも、フランジバックが長いとレンズ設計が苦しい状況になることはご紹介しておりますが、Fマウントの仕様がいかに厳しいかほんの少しご理解いただけたでしょうか?

 関連記事:SONY FE 35mm F1.4GMの記事中にも関連した説明があります

そして、NIKONはミラーレス化への移行と供に新マウントであるZを立ち上げました。

このZマウントは、業界でも最大サイズの径、最小クラスのフランジバックの仕様となりました。

Zマウントの径は「55mm」、フランジバックは「16mm」です。

これまでの小径マウントのストレスから解き放たれたNIKONの開発陣は、少々暴れ過ぎた仕様のNIKKOR Z 58mm F0.95を開発したり、超広角ズームNIKKOR Z 14-24mm F2.8を小型化したり、まさにストレス発散とも言うべきな好き放題をやっているようにも見えますね。

さて、Zの王道標準ズームではどのような暴れぶりを見せていただけるのか、早速ですが分析してみましょう。

文献調査

調査の結果、国際公開の形で出願されている資料を発見しました。このWO2020-136743からHPの構成図と特徴の一致する実施例1を製品化したと仮定し、設計データを以下に再現してみます。

 関連記事:特許の原文を参照する方法

!注意事項!

以下の設計値などと称する値は適当な特許文献などからカンで選び再現した物で、実際の製品と一致するものではありません。当然、データ類は保証されるものでもなく、本データを使って発生したあらゆる事故や損害に対して私は責任を負いません。

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設計値の推測と分析

性能評価の内容などについて簡単にまとめた記事は以下のリンク先を参照ください。

 関連記事:光学性能評価光路図を図解

光路図

上図がNIKKOR Nikkor Z 24-70mm F2.8Sの光路図になります。

その他のレンズ分析記事をお探しの方は、分析リストページをご参照ください。

以下の分析リストでは、記事索引が簡単です。

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  • この記事を書いた人

高山仁

光学設計一筋40年を超えるの世界屈指のプロ光学設計者。 さてその実態は零細光学設計事務所を運営するやんごとなき窓際の翁にしてレンズレビュー・コンソーシアム会長。 当ブログへのリンクや引用はご自由にどうぞ。 更新情報はXへ投稿しております。

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