レンズ分析

【レンズ性能評価】SONY FE 50mm F1.2 GM -分析101

ソニー FE 50mm F1.2 GM(SEL50F12GM)の性能分析・レビュー記事です。

さて、レンズの仕組みやその性能は一体どう違うのか、具体的な違いがほとんどよくわかりませんよね。

雑誌やネットで調べても似たような「口コミ程度のおススメ情報」そんな記事ばかりではないでしょうか?

当ブログでは、レンズの歴史やその時代背景を調べながら、特許情報や実写作例を元にレンズの設計性能を推定し、シミュレーションによりレンズ性能を技術的な観点から詳細に分析します。

一般的には見ることのできない光路図や収差などの光学特性を、プロレンズデザイナー高山仁が丁寧に紐解き、レンズの味や描写性能について、深く優しく解説します。

あなたにとって、良いレンズ、悪いレンズ、銘玉、クセ玉、迷玉が見つかるかもしれません。

それでは、世界でこのブログでしか読む事のできない特殊情報をお楽しみください。

作例写真は準備中です。

レンズの概要

SONY FE 50mm F1.2 GMは、SONY交換レンズシリーズの最上位グレードであるG Master(GM)の銘を与えられた標準画角の超大口径レンズです。

まずは、SONYのフルサイズ用交換レンズFEシリーズにおける50mmレンズを見てみましょう。

さすが標準レンズだけに50mmのラインナップは層が厚いようです。表に入れるか迷いましたが、標準画角のくくりですと40mmも販売されています。

最上位G Master(GM)、ドイツの名門ZEISS監修のZA、小型化高性能なG、お手頃な無印と4グレード全て用意されています。

当ブログでも過去にFE 55mm F1.8 ZAFE 50mm F1.4 ZAを分析してきました。

いずれもZEISSの銘を冠するだけに素晴らしい性能でしたね。

今回ついに満を持して、最上級GMシリーズのレンズが登場、仕様なんと超大口径なF1.2となります。

私的回顧録

当ブログの分析記事は、掲載開始順に通し番号を付けており、当記事は101回目となりました。

この番号付けは、レンズ1本毎だったり、記事毎だったりと、規則性がしっかりしていないのですが、個人で作成している物としてはそこそこな記事数となりました。

前回の分析記事は、100回目記念「LENS Reviewの分析」として当ブログのアクセス数などを掲載するレンズとは関係の無い記事でした。

今回の101回目記事からは、通常のレンズ分析記事へ戻りますが、記念の意味も込めた製品を選択しました。

その記念とは、第1回目の記事と同じ仕様のレンズを分析し、初心に戻ろうとの意図を込めています。

なお、第1回目はOLYMPUS Zuiko 50mm F1.2で、この分析から当ブログを開始しました。

 関連記事:OLYMPUS Zuiko 50mm F1.2

ブログ解説当初は「半年も続くのだろうか…」と心配しましたが、現在の掲載ペースならアイデアのストック数を考えると分析記事だけなら延々と執筆できそうです。

しかし、困っていますのは、作例を付けることで記事完成としているのですが、作例製作が一向に進んでおらず完成の見通しが立ちません。

もし、作例を提供していただける方がいらっしゃいましたらこちらの記事を参考にご連絡いただければ幸いです。

 関連記事:作例掲載


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文献調査

SONYは、不規則に特許を出願する傾向で、まったく特許出願されない製品も多いのですが、特開2022-140076には焦点距離85mmから35mmなどの標準域近傍でFnoがF1.2~F1.4の大口径レンズの実施例が記載されています。

今後、85mm F1.2なども発売されたりすると楽しみですね。

さて、特許文献に記載された実施例1を見ますと、レンズの構成が実際の製品とはわずかに異なりますが、50mm F1.2 GMに極近い構成と見られます。

この実施例1を製品化したと仮定し、設計データを以下に再現してみます。

 関連記事:特許の原文を参照する方法

!注意事項!

以下の設計値などと称する値は適当な特許文献などからカンで選び再現した物で、実際の製品と一致するものではありません。当然、データ類は保証されるものでもなく、本データを使って発生したあらゆる事故や損害に対して私は責任を負いません。


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設計値の推測と分析

性能評価の内容などについて簡単にまとめた記事は以下のリンク先を参照ください。

 関連記事:光学性能評価光路図を図解

光路図

上図がSONY FE 50mm F1.2 GMの光路図になります。

10群14枚構成、球面収差や像面湾曲の補正に効果的な非球面レンズを3枚も採用しています。

ただし、実際の製品に比較すると第9レンズと第10レンズの貼り合わせレンズの向きが反対なので厳密には異なります。ご了承ください。

さて、構成を見ると焦点距離50mm台のレンズで多く採用されるダブルガウス型の影は、もうすでに消し飛んでいるかのような独創的スタイルですね。

近代的な50mm F1.2レンズとしては過去にNIKKOR Z 50mm F1.2を分析していますが、これともまったく異なる進化を遂げています。

 関連記事:NIKON NIKKOR Z 50mm F1.2S

興味深いのはピント合わせ(フォーカシング)方式です。

上図は当レンズのフォーカシングのさいに移動するレンズユニットを示すものです。

被写体側のUNIT1は全体として凹レンズの構成、撮像素子側のUNIT2は全体として凸レンズの構成となっており、近距離の撮影を行う場合に双方が近づくように移動します。

複数のレンズユニット独立に移動させるフォーカシング方式をフローティングフォーカスと一般には言います。

このSONY FE 50mm F1.2の構成は、NIKONでのマクロレンズの方式に近いようにも見えます。

  関連記事:NIKON AF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8G

近距離撮影時の収差変動を抑制するためなのでしょうが、フォーカシングで移動するレンズの総枚数を減らす効果も高そうですから小型化にも大変に寄与していそうです。

ここで公式HPによると、このフォーカス方式を成立させるために各2対合計4基のモーターを同期制御しているそうで、言うは易しですが半端な苦労では成しえなかったのではないかと推測されますね。

縦収差

左から、球面収差像面湾曲歪曲収差のグラフ

球面収差 軸上色収差

球面収差から見てみましょう、一瞬ですがグラフの描画をわすれたかと勘違いするほどに極細い直線にまで補正されています。

F1.2の大口径とは信じ難いレベルです。

軸上色収差も根本部分にほんのわずかに判別できるほどにしかありません。

像面湾曲

像面湾曲は球面収差に比較すればほんのりとズレがありますが、これでも大したものです。

歪曲収差

歪曲収差は、グラフ上端にわずかなズレが見れる程度にまで補正されています。

焦点距離50mm台のレンズで多く採用されるダブルガウス型のレンズの場合はマイナスに少しズレを持ち写真としては樽型に歪みますが、こちらのレンズはほとんどゼロと言えるレベルです。

倍率色収差

倍率色収差は全体としては小さいものの、C線(赤)とg線(青)が分離した傾向となっています。

旧来的な倍率色の収差補正は、色を混ぜることで目立たせないようにする補正方式が主流でしたが、微小なズレは画像処理によって補正される現代におていはこのような赤青を分離させつつ最小にする方式が多くなっているように思います。

横収差

タンジェンシャル、右サジタル

横収差として見てみましょう。

左列タンジェンシャル方向は、画面中間部の像高12mm程度まではコマ収差も少なく、理想的な補正ですが、そこより画面の外側の像高になりますとコマ収差が少々残るようです。

右列サジタル方向は、画面の隅まで直線的な特性が続き驚くほど良く補正されています。

星景写真や夜景には大変好適なのではないでしょうか?


記事の途中ですが、カメラマンは眼が命です。眼精疲労を感じたらこちらはいかがでしょうか?

スポットダイアグラム

スポットスケール±0.3(標準)

ここからは光学シミュレーション結果となりますが、最初にスポットダイアグラムから見てみましょう。

画面の中間部の像高12mmまではほとんど点となっています。

スポットスケール±0.1(詳細)

さらにスケールを変更し、拡大表示したスポットダイアグラムです。

画面の周辺の像高18mmを超えるとコマ収差の残りの影響で少しスポットがいびつになりますが、信じ難いレベルで極小となっていますので実写で感じるものでは無いでしょう。

MTF

開放絞りF1.2

最後にMTFによるシミュレーションの結果を確認してみましょう。

開放絞りでのMTF特性図で画面中心部の性能を示す青線のグラフを見るとF1.2の大口径ながらもうグラフ上端に届くかのような高さです。

やはり画面の中間部の像高12mmまでは同様の高い山が続きます。

さすがに画面の周辺部の像高18mmを超えると低下があるものの十分高解像と言える高さの話です。

小絞りF2.8

FnoをF2.8まで絞り込んだ小絞りのMTFです。

画面の隅の像高21mmを除く、画面のほとんどの領域で理想値に近いレベルに達しています。

小絞りF4.0

FnoをF4まで絞り込んだ小絞りのMTFです。

このような高性能レンズで「まれにある事」ですが、FnoがF2.8の時点でMTFの山が上がり切り、良い意味で変化がありません。

贅沢な現象ですね…

総評

近年のSONYは、最上位レンズとしてのG Masterシリーズの拡充に力を入れておりました。

そこで真打登場となる、標準レンズのG Masterですから、まさに威信を賭けた超高性能レンズであることは事前にわかっていたものの、想定の上を行くような高性能でした。

一般的にSONYのFEマウントは、小径なためレンズ性能が犠牲になるとか、レンズの小型化が難しいなどとも言われます。

しかし、巧みなレンズ構成やフォーカス技術を採用し、これだけの高性能でありながら、全体を小型軽量に仕上げているようですから、これはFEマウントに対する執念と感じずにはいられませんね。

作例・サンプルギャラリー

SONY FE 50mm F1.2 GM の作例集は準備中です。


作例製作時に参考にさせていただいてます、絶景を撮るための撮影ガイド本を記事にまとめております。

【絶景を撮る】撮影ガイド本 おすすめ 10選

絶景写真を撮るための撮影場所や、撮影方法、機材などを紹介する「撮影ガイド本」を厳選して紹介します。
どの本を見ても思わずカメラを持って旅に出たくなる、そんな本ばかりですよ。

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当ブログの作例写真の現像には国産現像ソフトSILKYPIXを使用しております。

価格調査

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製品仕様表

製品仕様一覧表 SONY FE 50mm F1.2 GM

画角47度
レンズ構成10群14枚
最小絞りF16
最短撮影距離0.4m
フィルタ径72mm
全長108mm
最大径87mm
重量778g
発売日2021年4月23日

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以下の分析リストでは、記事索引が簡単です。

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