この記事では、世界で初めて非球面レンズを採用した超大口径標準レンズLEICA NOCTILUX 50mm F1.2の設計性能を徹底分析します。
さて、写真やカメラが趣味の方でも、レンズの仕組みや性能の違いがよくわからないと感じませんか?
当ブログでは、光学エンジニアでいわゆるレンズのプロである私(高山仁)が、レンズの時代背景や特許情報から設計値を推定し、知られざる真の光学性能をやさしく紹介します。
当記事をお読みいただくと、あなたの人生におけるパートナーとなるような、究極の1本が見つかるかもしれません。
レンズの概要
長いレンズ発展の歴史のなかで、様々な技術が導入されてきましたが、最も革新的で現代でも重要技術である「非球面レンズ」、これを最初に製品へ導入したメーカーをご存じだったでしょうか?
非球面レンズを最初に導入し販売したメーカーは、現代カメラの始祖とも称えられる「LEICA」からとされています。
この記事では、その最初に非球面レンズを導入したというLEICA NOCTILUX 50mm F1.2を分析しますが、まずはLEICAにおける標準レンズ発展の歴史を簡単に振り返ってみましょう。
- 1925 Elmar 50mm F3.5 Tessar型
- 1933 Summar 50mm F2 Double Gauss型
- 1936 Xenon 50mm F1.5 Double Gauss型
- 1959 Summilux 50mm F1.4 Double Gauss型
- 1966 Noctilux 50mm F1.2 Double Gauss型当記事
上の一覧は、LEICAの標準レンズの主な仕様と構成を年代順に並べたものです。
LEICAの標準レンズもたくさんありますから、これでも半数にも満たないといったところでしょうか。
最初に発売されたのは初代ライカにも搭載されたElmarで4枚構成のレンズであるいわゆるTessar型でしたが、続くFnoがF2と明るくなったSummarからは現代でも重用されるDouble Gauss型が採用されます。
このLEICAが目を付けたDouble Gauss型は非常に優秀で、現代でもレンズ構成における基礎のひとつとされています。
さらにライバルCarlZeiss陣営の大口径標準レンズSonnar 50mm F1.5と競い合うため、LEICAはさらなる大口径化を進めたXenon 50mm F1.5を導入します。
そして、より一層の明るさを求めて登場したのが、当記事のNoctilux 50mm F1.2となります。
このレンズは、世界で初めて非球面レンズを採用した製品として有名ですが、1966年から1975年にかけてわずか1,757本だけしか製造されなかったそうで非常に希少性が高いレンズです。
近年、これを正確に復元した復刻版レンズが発売されているそうですね。
なお、「世界初の非球面レンズを採用した製品」には諸説ありますが、LEICAの公式ページにもその記載がありますので、ここではLEICAの説に従うことにします。
ちなみに他の会社では、NIKONが初めて非球面レンズを採用した製品を発売したのは、1968年OP Fisheye-Nikkor 10mm F5.6です。
LEICAから2年ほど遅れての発売で、一般人が購入する物ではない極特殊な製品への搭載でした。
文献調査
以前からこのレンズの特許文献が存在することは知っていたのですが、その文献に記載された非球面レンズの再現方法が不明で、お蔵入りしていたのでした。
米国に私と似たような活動している方がおりまして、その方を経由して再現されたデータをいただき、今回ようやく分析することができました。
未だにどのように再現したのか詳細は不明ですが…
それではその特許文献US3459468を製品化したと仮定し、設計データを以下に再現してみます。
!注意事項!
以下の設計値などと称する値は適当な特許文献などからカンで選び再現した物で、実際の製品と一致するものではありません。当然、データ類は保証されるものでもなく、本データを使って発生したあらゆる事故や損害に対して私は責任を負いません。
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設計値の推測と分析
性能評価の内容などについて簡単にまとめた記事は以下のリンク先を参照ください。
光路図

上図がLEICA Noctilux 50mm F1.2の光路図になります。
