ペンタックス FA 31mm F1.8の性能分析・レビュー記事です。
さて、写真やカメラが趣味の方でも、レンズの仕組みや性能の違いがよくわからないと感じませんか?
当ブログでは、光学エンジニアでいわゆるレンズのプロである私(高山仁)が、レンズの時代背景や特許情報から設計値を推定し、知られざる真の光学性能をやさしく紹介します。
当記事をお読みいただくと、あなたの人生におけるパートナーとなるような、究極の1本が見つかるかもしれません。
作例写真は準備中です。
レンズの概要
PENTAXレンズの高性能製品シリーズには「★(スター)」との名称が与えられており、一方で小型高性能シリーズには「Limited」の名前が付けられています。
★レンズは、性能に妥協を許さず、堅牢性、防塵防滴を備えたプロ仕様でありその結果、サイズも大きくなりがちでした。
過去にはこんな★レンズを分析しています。
関連記事:smc FA★85mmF1.4ED
一方のLimitedシリーズは単に小型な製品と言うわけではなく、金属製の高い質感の外観に絞り操作環などマニュアル操作を意識したプレミアムな作りで「所有する喜び」にも重点を置いた製品となっています。
フルサイズ用のLimitedレンズは、執筆現在(2020)において3種類が販売されており本項では31mm F1.8を取り上げます。
今回の31mmもそうですが、Limitedレンズは全て焦点距離が少し変わった数値となっています。
公式HPにもある通り、焦点距離31mmと言う仕様は、35mmと28mmの中間という意味合いとされています。
1976年発売のsmc PENTAX 30mm F2.8を意識していたら面白いのですが、残念ながらそのような情報は見当たりませんでした。
私的回顧録
Limitedシリーズ全般のコンセプトは小型高性能ですが、この31mm F1.8は広角な焦点距離でありながら「F1.8」という大口径でボケ味にも配慮したことが伺えます。
単に小型に仕上げたいならFnoを少し暗めにすれば良いところを逆に明るくしているわけです。
31mmならF2.8でも違和感がなかったと思うのですが、F1.8まで明るくするのですから「男前」と言わずにはいられません。
このPENTAX 31mm F1.8は2001年発売ですが、フィルム時代の末期でコンデジの黎明期といった時期になり、デジタル一眼が普及するのはまだ少し先の時代でした。
レンズの描写に対してボケ味が、ことさら重要視されるようになったのはデジタル一眼レフカメラが普及してからの事です。
この時代のFnoの明るさとは高速シャッターを切る為というのがまだ大儀であった時代です。
また、フィルムカメラは取り直しが効きませんし、デジカメのように枚数を多く撮ることも難しく、ピント合わせの失敗などに備えて「開放での写真は極力控える」のが正しい作法とされていたのです。
ボケ味を問われるのはポートレート用の中望遠かマクロぐらいの時代で、問う人もプロクラスもしくは「沼の底に沈んだような人々」だけだったと思います。
そんな時代背景で「広角でも開放のボケ味を重要視する」と言う、恐ろしく先見の明のある方がPENTAXにはいたようです。
他に、鑑賞環境を振り返っても、この時代のインターネットは超低速回線でアナログ回線の人も多かった頃ですから、写真データをやり取りするのは困難でした。
写真の鑑賞は、写真プリントや本などの印刷物がまだ主だったのです。
当然ながら大きなサイズにプリントできる方は少数ですから、ボケ味を語るほどの画質で多くの人が写真を鑑賞できる時代ではなかったのです。
そんな時代に発売された、この早すぎた逸品とも言えるPENTAX 31mm F1.8をじっくりと分析してみましょう。
文献調査
さてメーカーごとに特許の出願戦略というのは様々で、思いついた事を片っ端から出すメーカー、厳選して出すメーカー、ほとんど出さないメーカーとありますが、PENTAXは比較的厳選して出すメーカーなので検索するとすぐにわかります。
見た目と仕様から特開2002-040325の実施例1を製品化したと仮定し、設計データを以下に再現してみます。
関連記事:特許の原文を参照する方法
!注意事項!
以下の設計値などと称する値は適当な特許文献などからカンで選び再現した物で、実際の製品と一致するものではありません。当然、データ類は保証されるものでもなく、本データを使って発生したあらゆる事故や損害に対して私は責任を負いません。
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設計値の推測と分析
性能評価の内容などについて簡単にまとめた記事は以下のリンク先を参照ください。
光路図

上図がPENTAX 31mm F1.8の光路図になります。

