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いろんな「写ルンです」開封してみた

当ブログLENS Reviewは、主にレンズを分析を目的としたブログですが、これまでに富士フィルムの販売するレンズ付きフィルム「写ルンです」の分析も行ってきました。

この記事では「写ルンです」分析の際に購入した色々な機種を開封して観察してみます。

なお、「写ルンです」の詳細分析記事をお探しの方は、こちらのリンク集をご利用ください。

  1. 「写ルンです」基礎編
  2. 「写ルンです」構造編
  3. 「写ルンです」光学編
  4. 「写ルンです」実写編

たくさんある「写ルンです」

「写ルンです」にはたくさんの機種があります。

例えばレンズの異なる機種、フィルムの種類が異なる機種、パッケージデザインが特殊な機種、など全体像がわからないほどたくさんの機種があります。

その一部ですが「写ルンです」の製造元である富士フィルムによる代表機種をまとめた資料がこちらになります。

上の一覧画像は、2016年に限定発売された「写ルンです30周年記念モデル」に同封されていた資料です。

これでも一部の機種だけで、「全ての機種」となると富士フィルムでもすでに資料が無い物もありそうですね。

新刊

古い「写ルンです」入手方法

執筆現在(2022年)多数あった「写ルンです」の種類は、もうわずか1種となってしまいました。

これはフィルムを使用するユーザーの減少の結果、1種に絞らざるを得ない状況となってしまったためです。

私はこれまでの「写ルンです」分析記事の執筆に際し、資料としていくつかの絶版となったモデルを購入しました。

フリーマーケットアプリでは、現在でも入手困難な絶版モデルが販売されています。

使用期限がとっくに切れた2000年頃の物でも少々色味が褪せた感じにはなりますが、見方によっては「味のある写り」をします。

世間では、故意に使用期限の切れたフィルムを使い、味のある写真を撮る方もおられるようですね。

参考に古い「写ルンです」の使えそうかどうかの見分け方ですが、パッケージにしわが多いなど外見の痛んでいる物は、目には見えづらい小さな穴が開いている可能性が高く、外部から空気が入ってしまいフィルムが化学変化を起こして劣化してしまうので避けた方がいいですね。

いくつか入手方法がありますが、私はメルカリと言うフリマサービスで購入しました。

 注:期限切れの古いモデルの撮影は、自己責任でお願いします。私は一切保障しません。

中にはとんでもなく古いモデルも販売されており、1980年代の製造開始時期ごろの初期モデルなども入手できました。

この画像の機種は使用期限が1990年となっています。フィルムの使用期限は2年ほどとされていますから1988年頃の生産なので、かなり早期に生産されたものです。よく残っていましたよね…

開封「写ルンです」

防水モデル

パッケージ表面

「写ルンです」の防水モデルは、いくつか存在するようですが、現時点では最終期のモデルと思われます。

かつては、防水ケースのみも販売されていたようです。

パッケージ裏面

使用期限が2010年の物ですから執筆現在(2022年)からすると期限後12年が経過しています。

過去の経験からすると問題無く写ると思います。

防水モデルは、水が入らないように厳重に密封されているわけなので、外気が入らずフィルムの化学変化を防止してくれ、劣化が抑えられていると思います。

水深10mまで対応しており、水遊びでだけではなく、本格的なダイビングでも使えそうですね。

 注:私はダイビングの経験はありません。

パッケージ表面

紙製の外箱のパッケージを開けると遮光と密封するための内袋が現れます。

製品表面

内袋を開き製品を見てみましょう。

製品を見ると、全体が防水性の透明なプラスチックで覆われており、フィルム巻き上げと撮影レリーズ用の操作部材(緑色)が取り付けられています。

中身の「写ルンです」は基本モデルと同じなんでしょうが、デザインが専用の物で、フラッシュがありません。

水中は暗いのでフラッシュがあると便利なように思いますがなぜか廃止されています。

想像ですがフラッシュが無い理由は、濡れた手で触ると感電する、などの安全上の理由かもしれませんね。

シリコン製のストラップも付属しています。ダイビングなどでの紛失防止に好適ですね。

製品裏面

背面にも記載されていますが、撮影距離が1~3mとなっているのは水中は光が届かず暗いためでしょう、陸上では通常通り無限遠でも写ります。

防水ケースは前後に開く作りで、割れ目はシリコン的な素材で止水処理されています。

一般的に防水系の商品は、製造不良などがあると浸水して一瞬で壊れてしまいクレームが多く、製造や管理と保証が難しいためあまり大手企業は製品化したがらない印象があります。

ところが、この防水モデルは、2010年ごろまで販売されていたのですから富士フィルムの品質管理の高さが伺われますね。

初代望遠

パッケージ表面

続いて初代望遠モデルへ移ります。

望遠モデルには、初代の望遠モデルと、二代目となるNew望遠があります。

過去にはNew望遠の分析を行っておりますので、詳細分析はこちらをご覧ください。

 関連記事:写ルンですNew望遠

初代モデルは、フリマアプリでも扱いが少なく、なかなか希少です。

望遠モデルの基本的な性能は、二代目モデルの分析で知っておりますので、今回は外観の確認用としてパッケージ汚損品を購入しました。

購入した物は、袋の一部が破れてしまっています。

パッケージ裏面

使用期限は1993年です。袋が破れているため撮影はできないでしょう。

なお、2000年ごろに初代から二代目へ切り替わったものと思われます。

製品表面

パッケージが破れていますので、もしかするとカビなどが生えているかも、と恐る恐る引き出すと中身は新品同様できれいでした。

眺めて見ると、二代目モデル同様にレンズが上に付いていますので、鏡を2枚使って光路を折り曲げているものと思いますが、見た目に初代モデルの方が小さいですね。

何か構造が違うのでしょうか?

パッケージには焦点距離などの情報が無いのでわかりませんが、初代モデルの方が焦点距離が短いのかもしれませんね。

製品裏面

二代目モデルと違って昼間撮影と夜間撮影モードの切り替え機構はありません。昼間専用と思って使うしかないですね。

フィルムは何が入っているのでしょうか?パッケージには記載がありません。

まだISO1600フィルムが採用されていれば記載されていそうですがその様子はありません・

後日分解確認してみようと思います。

新発売

オペラグラス付き 望遠

外箱表面

こちらは2002年の日韓共催ワールドカップの際に抽選で入手できたようです。

「写ルンです」の二代目望遠モデルのNew望遠とオペラグラスがセットの構成でなんと「合体」します。

フリマアプリではかなり販売されていました。どれだけ配ったんでしょうか。

外箱中身

箱を開けると挨拶状と説明書が入っておりました。

挨拶状

文面の雰囲気からしますと、無料だったみたいですね。

外箱中身

挨拶状と説明書を取り除くと、内容物が全て確認できます

3点の内容物はこちらです。

  • 写ルンですNew望遠
  • オペラグラス
  • ストラップ

オペラグラス

オペラグラスは、凸レンズと凹レンズの2枚構成でしょうか、少し使ってみましたが似たような100円ショップの物よりは、画質は断然上でした。

オマケとは言え、富士フィルムの配布するものですから、画質はこだわっているようです。

オペラグラス

パッケージ表面

さて、本体と言える「New望遠」の方は、パッケージデザインがワールドカップ仕様となっています。

ちょっとテカってしまいました、すみません。

製品表面

中身の方もワールドカップ仕様の限定版のようです。

製品裏面

このNew望遠は、ISO1600の超高感度フィルムと光量調整機能により、昼夜問わず撮影できる非常に凝った構造になっています。

この機種、使い捨てとは思えない素晴らしい構造です。詳しくは詳細分析記事をご覧ください。

 関連記事:写ルンですNew望遠

オペラグラス合体

この合体状態だと使いづらいため、あくまで紛失防止ではないかと思います。

撮影時は分解して使うのでしょう。

接写 セルフ 標準 3Wayモデル

パッケージ表面

最後の「写ルンです」は、接写/セルフ/標準撮影が可能な3Wayモデルです。

接写とは近距離撮影のことで、セルフとは現代的な表現をすると「自撮り」ですね。

このモデルは、簡単に言えば近距離での撮影に向いた「写ルンです」となります。

パッケージ裏面

一般の「写ルンです」の撮影距離は1m~無限遠ですが、このモデルは40cmから撮影することが可能です。

製品表面 通常モード

開封すると近距離の仕組みがわかってきます。

通常モデルの「写ルンです」にアタッチメントレンズを装着することで近距離撮影を可能にするようです。

この状態は、通常撮影(標準)の形態で撮影可能な距離は1m~無限遠となります。

普通の「写ルンです」の状態ですね。

製品表面 接写モード

カバーをガチャリと装着すると近距離撮影モードとなります。

要はルーペのような機能をするレンズを前に装着し、近距離撮影を可能にします。

そのかわり、遠距離にはピントが合いませんのでこの状態は40㎝~1mで撮影します。

ファインダーには近距離での視差(パララクス)を補正するために指標が装着され、フラッシュは光量を落とすために一部を隠す部品が装着されます。

単純に近くを写すレンズを装着するだけでなく、素晴らしい工夫がありますね。

初期モデル

パッケージ表面

最後に初期モデルを紹介します。

こちらは冒頭でも紹介しました、ごく初期に製造された物です。

少々、パッケージにはしわがありますが30年以上前の未開封珍品です。

パッケージ裏面

使用期限が1990年とあります。フィルムの使用期限は、2年ほどですから1988年ごろの製造と推定されます。

35mmフィルムの「写ルンです」の発売は1986年ですから、かなり初期に製造されたものですね。

製品表面

開封してみると、わずかに折れ目のような跡があり、少々の痛みはありますが、ぱっと見は新品かと思うような綺麗さでした。

製品裏面

背面の挿絵は味のある感じで、MEMO欄などもあり1980年代らしいですね。

30周年記念モデルとの比較

2016年に発売された30周年記念モデルに同梱されていた「初期モデル風の着せ替えジャケット」と比較してみます。

画像下段が着せ替えジャケットです。

雰囲気は似ていますが、配色やロゴの有無など、これはだいぶ違いますね。

この着せ替えジャケットを装着する様子は、以前に30周年記念モデルの開封動画を作りましたのでご参照ください。

 関連動画:写ルンです30周年記念モデルの開封

サンプル画像

この初期モデルで撮影を行いましたが、かなり変色の激しい写真になってしまいました。

パッケージに痛みがあったため、中に外気が入っていたのでしょうか?

近い年式でもう少しパッケージのきれいな物がありますので、今後また挑戦してみようと思います。

このような事もありますので、古いモデルで撮影するのはあくまでも遊びとして行いましょう。

まとめ

色々な「写ルンです」を開封し、並べてみましたが、各モデルが本当に創意工夫がこらされたものでしたね。

フィルムの販売数量の低下に伴い、現行の「写ルンです」はわずか1種になりました。

久しぶりのフィルム撮影はなかなか楽しいものですし、仕上がるまで結果の予想できない「写ルンです」は現代では逆に新鮮に思ってしまいます。

また、現行の「写ルンです」はこちら販売されております。

その他「写ルンです」詳細分析記事は下記をご参照ください。

  1. 「写ルンです」基礎編
  2. 「写ルンです」構造編
  3. 「写ルンです」光学編
  4. 「写ルンです」実写編

その他のレンズ分析記事をお探しの方は、分析リストページをご参照ください。

以下の分析リストでは、記事索引が簡単です。

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  • この記事を書いた人

高山仁

いにしえより光学設計に従事してきた世界屈指のプロレンズ設計者。 実態は、零細光学設計事務所を運営するやんごとなき窓際の翁で、孫ムスメのあはれなる下僕。 当ブログへのリンクや引用はご自由にどうぞ。 更新情報はXへ投稿しております。

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