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【しくみがわかる】写ルンです 1.基礎編 - 分析052

フジカラー「写ルンです」は、富士フィルムが販売する「レンズ付きフィルム」の商標です。

「レンズ付きフィルム」とは、簡易的なカメラにフィルムや電池を製造時に装填した状態にして販売されている商品で、購入した瞬間から撮影が可能であり、撮影後にはそのままカメラ店へ持ち込めば写真がプリントされ、またカメラ部分は回収されリサイクルし再販売されるシステムとなっています。

よく「使い捨てカメラ」と呼ぶ方がいますが、リサイクルを前提としたエコなシステムであり、写真・カメラ好きを自称される方は正規名称である「レンズ付きフィルム」と呼んでいただきたいものです。

かつて「写ルンです」は、90年代に若者を中心に絶大な支持を受け、各世代へ広がった結果、日本の平成期を代表する大ヒット商品に成長しました。

また、デジタルカメラの台頭した現在でも根強い人気があり、現在(2021年)でもアマゾンのカメラ用品ランキングでも上位に君臨しています。

下記の画像は、2021年のAMAZONカメラ用品ランキングのある日の様子で、第5位「写ルンです」となっています。

このランキングは、カメラ以外の物も多いのですが…

ちなみにフィルムカメラランキングにするとこの結果です。

1位が「写ルンです」ばら売り、3位が5個セット売りとなっています。

今の時代にフィルムカメラの売上ランキングを見る事に「何の意義が…」とも思いますが、海外でも流行していると聞くインスタントフィルム系の商品よりも上位なので、馬鹿にはできない数量が売れているのでしょう。

当記事から連続して「写ルンです」を様々な観点から深く分析してみたいと思います。

今回は基礎編として「写ルンです」の基礎や歴史を紹介します。

関係する「写ルンです」シリーズ記事は以下をご参照ください。

  1. 基礎編当記事
  2. 構造編
  3. 光学編
  4. 実写編

事前準備:フィルムカメラの基礎

さて、お若い読者のため「写ルンです」本体説明の前にフィルムカメラの基礎的な構造を紹介しましょう。

まずは、写真フィルムについてですが、現代のカメラはCOMSセンサーなどの電子撮像素子を使うデジタル方式が主流ですが、2000年以前はフィルムと言う化学的処理を施し写真を得るアナログ方式が主流でありました。

写真フィルムとは、プラスチックの薄いシート状の基盤材に感光材料が塗布された物で、レンズを通した光を当てること(感光)で化学反応を起こさせて映像を記録します。

その後、現像処理やプリント処理など、さらに化学処理を施すことでようやく写真を得ることができます。

以下の写真は、現像したフィルムの仕上がり例です。(ネガフィルム)

ネガフィルムの場合、現像後のフィルム色は反転しておりますが、プリント処理とともに正常な色合いに戻ります。

現代では画像処理ソフトを使ってデジタル処理によるネガの反転が簡単に可能です。

ここではデジタル処理でネガフィルムの色味を反転させてみましょう。

照明が適当なので正常な色味ではありませんが、元の色味に戻ってきました。

さて、写真フィルムと言っても様々な種類があります。

「写ルンです」に封入されているフィルムも時代ごとに3種類のフィルムサイズが採用されました。

それでは「写ルンです」で採用された各フィルムサイズを簡単に紹介します。

110フィルム

通称「ワンテン」。70~80年代に主にトイカメラを中心に採用されました。初心者にも取り扱いが簡単なカセット方式を採用しています。

フィルム面積が小さく、当時のフィルムやプリント品質では満足な画質を得ることはできませんでした。

構想としては優れていたと思うのですが、90年代にはほとんど見かけなくなりました。

現在(2021年)でも細々と生産するメーカーがあるようです。しかし、販売や現像の対応できる店舗はかなり限られるようです。

撮影画面の縦横の長さは13×17mm

110フィルムの装填動画を準備しました。ご興味のある方はご参照ください。

 動画関連記事:110フィルムをPENTAX Auto 110へ装填します

135フィルム

通称「35mm判とかライカ判」と言われる最も標準的なフィルムです。

ライカが採用したことを契機に全世界的に最も普及しました。

現在のデジカメの撮像素子(COMSセンサー)サイズ名にある「フルサイズ」の元になりました。

種類は大幅に減りましたが、現在でも生産は続いています。

撮影画面の縦横の長さは24×36mm。

135フィルムの装填動画を準備しました。ご興味のある方はご参照ください。

 動画関連記事:135フィルムをOLYMPUS OM-1N へ装填します

APS(240)フィルム

1996年に生まれた新しい規格ですが、2002年にはデジタルカメラの勃興により衰退し2012年に消滅しました。

現在のデジタルカメラの撮像素子サイズの名称にその名残がありますね。

撮影画面の縦横の長さは16.7×30.2mm

APSフィルムの開発目的のひとつにはフィルム装填の自動化にあります。

APSでは135フィルム装填動画にあるような独特の操作は不要で、カメラへ入れるだけで装填完了します。

「写ルンです」の歴史

ここからは「写ルンです」の簡単な歴史を紹介します。

最初は1986年に110フィルムを採用した”初代”が販売されましたが、すぐに翌年1987年には135フィルムを採用した”2代目”が販売されこちらが大ヒットします。

当時の広告がありました。なんと言うか、2週ぐらい回って今どきっぽく見え、古臭さが薄いのは気のせいでしょうか?

普通、一般的の人が記憶する「写ルンです」とは、この135フィルムの2代目の事であり、初代に110フィルムモデルがあったことはすっかりと忘れられた存在となりました。

私も110フィルム「写ルンです」の現物を見たことはありません。

その後は、2代目(135フィルム)を標準モデルとして望遠、接写、防水、高感度など様々な派生商品が販売されます。

メルカリにて手ごろな価格で購入できた物を並べてみました。

1996年にはAPSフィルムを採用した小型モデルが販売されましたが、2012年にAPSフィルム終焉と供に消滅。

2019年以降は、防水などの派生モデルも販売を終了し、「2代目(135フィルム)の標準モデル」のみ1種が販売され続けています。

私的回顧録

私的に思い返してみると「写ルンです」の大ヒットは社会現象に近いレベルとなりました。

そんなに安価ものでもなかったと思いますが、90年代の渋谷あたりをうろつく女子高生のマストアイテムと言われていましたね。

「写真=フィルム方式」だった当時の物価感を思い出しますと、フィルム全盛期ですから大量生産されており安く手に入りました。

極端な例を挙げれば100円ショップでも写真フィルムが販売されていました。

同じ時代「写ルンです」は1000円ほどで販売されていたのですから割高だったと思うのですが、サイズや重量、コンビニでも販売されている手軽さが受けたと言うことなのでしょう。

その売れすぎた影響で、カメラが販売不振になったと言われるほどです。

時代は繰り返すと言うことなのでしょうか?現代ではスマホがその代わりとして君臨し、カメラ業界が圧迫されています。

さて、2000年代ともなるとデジタルカメラの流行とAPSフィルムの終焉で「写ルンです」自体も消滅するのかと思ったのですが、その特異な簡易構造に由来する「微妙な画質」がアナログレコードのように現代の若者を刺激するようで、根強いファン層が残っているようです。

推測しますと、現在でも「写ルンです」を愛用する2000年頃に生まれた若者は、自分の子供の頃の写真がほとんど「写ルンです」で撮られていた、なんて方も多いのはないでしょうか。

そのため、まだ記憶の隅に「アナログなフィルム写真の味」がほんのり残っているのでしょうね。

ゆえに「エモい」などと表現して愛用するのではないでしょうか?

近年では、このちょっとした流行に乗ってか、フィルム製造を再開するメーカーも出現し、フィルムカメラに関連する雑誌やムック本なども旺盛に出版されるようになりました。

カメラ文化の多様化の一片として長く続いて欲しいものです。

「写ルンです」の使い方

まずはこちらが135フィルムを最初に採用した2代目のパッケージです。

メルカリで700円で入手しました。30年前に製造された未開封新品(珍品)です。

使用期限が1990年となっています。フィルムの使用期限は2年ほどですから1988年頃の生産なので、かなり早期に生産されたものです。よく残っていましたよね…

外見は新品同様ですが開封するとどうなっているんでしょうか?電池が液漏れしたりして大変なことになっているのでしょうか?こちらの開封はまた後日に行います。

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さて、現行品を眺めてみましょう。

基本的な構造は変わらないことがわかります。

詳しい中身の構造等は次回に解説するとして、今回は使い方を紹介します。

  1. フラッシュスイッチをオンにする。(室内など暗い時)
  2. LEDが点灯したらフラッシュ準備完了。
  3. 巻き上げダイヤルを突き当たるまで回す。
  4. ファインダーを覗いてレリーズスイッチを押す。

明るい屋外なら、3巻き上げて⇒4レリーズするだけ。

ピント、絞り、シャッタースピード全て固定なので構図以外には考える必要がありません。

これには、現代のデジタルカメラに慣れている方だと意外に思えるのでしょうが、全てがオートで調整されるのではなく、全てが固定の設定なのに「なんとなく良い感じ」に撮影できてしまうのです。

よく、「使い捨てカメラ」などと呼ばれ低く見られがちな「写ルンです」ですが、フィルムの特性を上手く引き出した「知恵の結晶」のような製品なのです。

30周年記念モデルの開封式

2016年「写ルンです」発売30周年記念として特別モデルが5万台限定で販売されました。

こちらがそのパッケージになります。

中身は現行の物と同じですが、外見を昔のデザイン風にするための追加パーツが付属し、他にもキーホルダーや小冊子なども入っているようです。

今回は「写ルンです」分析記事のオマケとして、2016年に発売された「30周年記念モデル」を開封する動画を作成しました。

 動画関連記事:フジフィルム 写ルンです 30周年記念モデルを開封します

30周年記念モデルに同封されていたオマケ冊子をスキャンしました。参考にご覧ください。

表面は使い方、裏面は過去の代表的な「写ルンです」のモデルリストでした。

これ以外にも色々な限定モデルがあると思いますので、全品コレクションしてみたいものです。

では、これにて基礎編は終わりたいと思います。

なお、次回以降も「写ルンです」分析は構造編としてまだまだ続きます。

その他、関連する「写ルンです」記事はこちらです。

 関連記事:写ルンですnew望遠
 関連記事:いろんな写ルンです開封してみた

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現在の「写ルンです」は、スタンダードな機種しか販売されていませんが、メルカリでは色々な種類が出品されています。
パッケージに痛みが無ければ、だいぶ期限切れしていても普通に写る物も多いですよ。
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関係する「写ルンです」シリーズ記

事は以下をご参照ください。

  1. 基礎編当記事
  2. 構造編
  3. 光学編
  4. 実写編

写ルンですの派生品である望遠モデルの分析も行っています。

 関連記事:写ルンです望遠 構造編光学編

【しくみがわかる】写ルンです 望遠 構造編 - 分析081

FujiFilmレンズ付きフィルム「写ルンですnew望遠」を特許情報と実写による作例から分析します。
今回は前半部となる構造編です。

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