ニコン ニッコール 14-24 F2.8 望遠端(24mm)の性能分析・レビュー記事です。
さて、写真やカメラが趣味の方でも、レンズの仕組みや性能の違いがよくわからないと感じませんか?
当ブログでは、光学エンジニアでいわゆるレンズのプロである私(高山仁)が、レンズの時代背景や特許情報から設計値を推定し、知られざる真の光学性能をやさしく紹介します。
当記事をお読みいただくと、あなたの人生におけるパートナーとなるような、究極の1本が見つかるかもしれません。
作例写真は準備中です。
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レンズの概要
当記事は前回の分析記事、NIKON AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8 G 広角端(14mm側)からの続きとなり、同レンズの望遠端(24mm側)の性能分析記事となります。
関連記事:NIKON AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8 G 広角端
概要や文献情報については上記リンクの広角端記事をご参照ください。
では、早速ですが性能を見ていきたいと思います。
設計値の推測と分析
性能評価の内容などについて簡単にまとめた記事は以下のリンク先を参照ください。
光路図
上図がNIKKOR 14-24 F2.8 望遠端の光路図になります。
全体に被写体側へ移動し、全長が伸びるタイプの変倍方式となっています。
縦収差
球面収差 軸上色収差
球面収差は小さくまとまっています。望遠側の方が光線束が太いため球面収差の補正が難しくなりますがきれいに補正されています。
軸上色収差はg線(青)が根本でプラス側から先端に向けて大きく曲がりマイナス側へ突き抜けています。
こうすることで開放の状態では収差が平均的に小さくなり、かつ拡散し強度も弱まります。また、小絞りにすると色収差が絞りによりカットされます。
どうにも軸上色収差の絶対値が小さく収まらない時の技法です。
像面湾曲
像面湾曲は軸上色収差の影響でg線(青)は大きくずれるものの全体には適度に補正されていそうです。
歪曲収差
歪曲収差はズームレンズの場合、広角端はマイナス側に、望遠側はプラス側へ収差が残りますが、このレンズはほんのわずかにプラス側へ残るようです。
倍率色収差
倍率色収差を確認しましょう。c線(赤)の補正に難儀したのかg線(青)をかぶせて、心象の悪い真っ赤な倍率色収差を緩和させ紫色に変えていると思われます。
横収差
左タンジェンシャル、右サジタル
横収差として見てみましょう。
横収差は流石は大三元レンズだけあってきれいにまとまっています。
細かく見ると周辺18mmを超えるとタンジェンシャル方向のコマ収差があり、倍率も少々残りが大きく、MTFの低下が懸念されます。
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スポットダイアグラム
スポットスケール±0.3(標準)
ここからは光学シミュレーション結果となりますが、最初にスポットダイアグラムから見てみましょう。
横収差でのサジタル方向がきれいにまとまっていますので大口径ですがV字のスポットにもならず適切に補正されているようです。
スポットスケール±0.1(詳細)
こちらはスケールを変更し、拡大したスポットダイアグラムの様子です。
画面の周辺部の像高18mmを超えると倍率色収差の影響が現れるようですね。
MTF
開放絞りF2.8
最後にMTFによるシミュレーションの結果を確認してみましょう。
開放のMTFは中間12mmまではかなり山も高く、周辺18mm以降ではコマ収差等の影響で低下するものの、山の頂点一致度が良く平坦性の良い写真になりそうです。
小絞りF4.0
絞ることでコマ収差の影響がカットされるため山はだいぶ改善します。
周辺18mm以降もそれなり改善しますが、倍率色収差でのMTF劣化分は絞っても回復しませんので、それなりにとなります。
十分高性能の範囲ですが。
総評
超広角ズームの望遠端側だけあって若干の補正の苦しさはあるものの流石は巧みな技術でカバーしていることが伺えます。
今回の記事でNIKKOR 14-24 F2.8の分析も終わります。
次回の分析記事はお待ちかねの新/旧14-24比較分析へ続きます。
前回の分析記事、NIKON AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8 G 広角端(14mm側)はこちらです。
関連記事:NIKON AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8 G 広角端
以上でこのレンズの分析を終わりますが、最後にあなたの生涯における運命の1本に出会えますことをお祈り申し上げます。
LENS Review 高山仁
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製品仕様表
製品仕様一覧表NIKON NIKKOR 14-24 F2.8 望遠端
画角 | 84度 |
レンズ構成 | 11群14枚 |
最小絞り | F22 |
最短撮影距離 | 0.28m |
フィルタ径 | --mm |
全長 | 131.5mm |
最大径 | 98mm |
重量 | 970g |
発売 | 2007年 |