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【光学エンジニアの解説】ニコン超大口径中望遠レンズNIKON NIKKOR Z 135mm F1.8 S Plena 第2部「Plena編」 -分析143

この記事では、ニコンのフルサイズミラーレス用の交換レンズである超大口径中望遠レンズNIKKOR Z 135mm F1.8 S Plenaの設計性能を徹底分析します。

この記事は、前後編の2部構成となっており、第1部 収差分析編はこちらのページをご参照ください。

 関連記事:NIKKOR Z 135mm F1.8 S Plena 収差分析編

さて、写真やカメラが趣味の方でも、レンズの仕組みや性能の違いがよくわからないと感じませんか?

当ブログでは、光学エンジニアでいわゆるレンズのプロである私(高山仁)が、レンズの時代背景や特許情報から設計値を推定し、知られざる真の光学性能をやさしく紹介します。

当記事をお読みいただくと、あなたの人生におけるパートナーとなるような、究極の1本が見つかるかもしれません。

結論:Plenaは何が違うのか?

第1部にてご紹介した通り、NIKKOR Z 135mm F1.8 S は「Plena(プレナ):光に満ち溢れる世界」そんな美しい名を与えられたレンズですが、Plenaは他のレンズと何が違うのか?その由縁は何か?そんな疑問に即答することから始めましょう。

その”Plenaの違い”とは

Plenaは、一般的なレンズのおよそ2倍の光量を取得することが可能です。

これがPlenaの最大の特徴であり、その名の由縁と考えられます。

これは技術的にどういうことなのか?なぜそのような思想に至ったのか?この記事はその背景にも深く切り込んで参りたいと思います。

一般レンズの光量(明るさ)

画面の中心の光量とFno

レンズの光量(明るさ)の指標として、Fno(エフナンバー)があることは多くの方がご存じでしょう。

まず、Fnoをあらためて紹介すると、画面の中心に入る光の量(入射光束径)を焦点距離との比により表現しています。

Fnoについて、私の愛用するOLYMPUS Zuiko 50mm F1.2を使って解説します。

中心に入る光束が太いほどFnoは小さい値になります。

光束が太いというのは、入る光量が多いすなわち明るいレンズとなります。

よって、Fno値が小さいほど明るくなり、太く巨大になるため、結果として高価なレンズになりやすいんですね。

 関連記事:NIKON NIKKOR Z 58mm F0.95

まずはFnoとは「画面中心の明るさ」の指標であることがご理解いただけたでしょうか。

この記事で紹介するPlenaはFnoが「F1.8」と、焦点距離のわりに小さい数値ですから超明るいレンズです。

画面の周辺の光量

画面中心の明るさ(Fno)はわかりましたが、では「画面の周辺部の明るさ」はどうなっているのでしょうか?

通常の撮影レンズは、画面の中心に比較し周辺部では光量が低下します。

まずは、その様子を一般的なレンズの光路図で確認してみましょう。

上図では、OLYMPUS Zuiko 50mm F1.2画面の中心に入射する光()と、画面の周辺の像高18mm位置へ入射する光()を描いています。

中心の光に対して、画面周辺の光の太さは、半分以下に見えますからあきらかに細いですね。

これは、画面周辺に入る光が、中心よりもとても少ない(暗い)ことが示されています。

これをシミュレーションで正確に数値化して確認しましょう。

上の図は、周辺光量比(vignetting)という特性値で、中心を100(基準)とした時に画面の周辺で低下する比率を数値化しています。

 ※あるいは周辺減光、ケラレ、口径食などいくつかの呼び方があります。

縦軸は光量で、横軸は画面の位置で左側の0は中心で、グラフの右へゆくほど画面の隅の光量を示します。

このレンズは中心(100%)に対して、周辺は約25%まで低下しています。

これはすなわち、撮影時点で光の総量の半分ほどを消失しているのです。

周辺光量の低下の仕組み

画面の周辺で発生する光量の低下の概念を説明しますと、筒状の構造物を「中心から見た場合」と「周辺から見た場合」で、筒の形が変って見える現象が大きな原因です。

この現象を改善するには、筒の前側/後側を大きく広げることが必要です。

しかし、Fnoの明るいレンズほど中心部の光の分だけですでに大きくなるわけですから、周辺の光量を多くするとさらなる大型化を招きます。

さらに、Fnoを明るくすると取り込む光の量が増えるため収差量が激増し補正が難しくなります。これに加えて周辺部も明るくすれば収差の補正は一層困難になりレンズ全系の巨大化を招くのです。

経験上、多くのレンズでは周辺部の光量は20~30%ほどになるのものが一般的で、Fnoが明るいほど光量低下の抑制が難しいものです。

なお、光量の低下について広角レンズではコサイン4乗則という別の要素も関係しますが、今回は中望遠レンズなので省略いたします。

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Plenaの光量

続いて、特許文献から再現したPlenaの光量を確認してみましょう。

レンズの構成は14群16枚で他社のレンズと比較しても非常に贅沢な構成ですね。

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  • この記事を書いた人

高山仁

光学設計一筋40年を超えるの世界屈指のプロ光学設計者。 さてその実態は零細光学設計事務所を運営するやんごとなき窓際の翁にしてレンズレビュー・コンソーシアム会長。 当ブログへのリンクや引用はご自由にどうぞ。 更新情報はXへ投稿しております。

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