分析027 MINOLTA AF 28mm F2.0

MINOLTA 28mm F2.0の性能分析・レビュー記事です。作例写真は準備中です。

レンズの概要

28mmの広角レンズにしては大口径なF2.0のレンズです。まずMINOLTAレンズ28mm F2仕様レンズの発売年と構成を見てみると以下になるようです。

  • MC W ROKKOR 28mm F2(1975)9群10枚
  • MD W ROKKOR 28mm F2(1977)9群10枚
  • New MD 28mmF2.0(1981)9群9枚
  • AF 28mm F2(1986)9群9枚
  • AF 28mm F2 new(1999)9群9枚

光学系としてはROKKORシステム展開の初期からあり「10枚構成の初代」と「9枚構成の二代目」の2系統が存在しているようです。

その後、オートフォーカス化されたAFレンズのシリーズも「二代目レンズ」が採用され続けたようです。

今回の分析記事では二代目の9枚構成のレンズを取り上げます。

二代目レンズは、MINOLTAのカメラ事業撤退まで生産されたでしょうから20年以上生産されたと推測されます。なかなかのご長寿レンズだったようです。

性能の方は、大口径でありながら高い性能で銘玉と言われつつもMINOLTAのカメラ事業を吸収したSONYには受け継がれなかったようで、現在(2020年)では後継機も無く、中古品はプレミアム度の高い製品となっているようです。

私的回顧録

我が家にわずかにあるレンズ関連書籍のひとつに「CAPA 交換レンズ 94 著者:西平英生」があります。この本は毎年シリーズとして出版されており、2009年版が最終だったようでご存じの方も多いでしょう。

大変便利で今でも数冊所有しており、私の蔵書の中では94年版が最古のため永久保存扱いにしています。

この本の著者である写真家の西平先生はすごい方で、まずはこの本の情報量があまりに圧倒的で驚くのですが、これだけの情報量の本をなんと毎年加筆し出版していると言うのが衝撃的です。

内容もただの感想文ではなく、しっかりとチャート撮影や実写などの測定を行いその分析結果に基づいて、辛口のコメントを入れていますから恐ろしい労力で執筆されていることが伺えます。

フィルム時代のチャート撮影や測定は、撮影後に現像しプリントを経てようやく見ることできますから結果を見るまでに時間もかかりますし、撮り直しが容易にできませんから失敗すると全てやり直し、とデジタル時代の現代からは想像し難い多大な労力を要するのです。

これだけの本を10年以上にわたり出版され続けた西平先生こそまさに「レンズ評価の鬼」と言っても過言ではないでしょう。

その西平先生が94年度版で「愛用している」と書いたレンズのひとつが今回取り上げるMINOLTA AF 28mm F2.0で長年気になるレンズではありました。(new MDから同じ光学系)

長年、気にはなっていたものの実は私、MINOLTAの一眼レフは使ったことがありません。若い頃の写友がMINOLTAユーザーで、彼に対抗心でもあったのか別メーカーを使っていたのです。

今にして思えば同じメーカーを選んでおけば機材を共有できたのに、とも思いますね。

時は流れ2020年の現在、噂では西平先生もお亡くなりになり、縁の切れた写友とも会う事は無いでしょうが、西平先生と写友の彼を偲びながら以下に調査結果を報告いたします。

文献調査

MINOLTA 28mm F2.0製品発売の1981年を基点に調査したところなんとか発見できました。初代28mmらしき文献を先に見つけてしまい、この文献しか無いのかも?と不安になりましたが、二代目となるこのレンズもありました特許文献は昭54-164127です。

実施例4が製品構成図に近いようなので設計値として以下に再現します。

!注意事項!

以下の設計値などと称する値は適当な特許文献などからカンで選び再現した物で、実際の製品と一致するものではありません。当然、データ類は保証されるものでもなく、本データを使って発生したあらゆる事故や損害に対して私は責任を負いません。

設計値の推測と分析

性能評価の内容について簡単にまとめた記事は以下のリンク先を参照ください。

 リンク:光学性能評価光路図を図解

光路図

minolta af28 F2.0 断面図 光路図

上図がMINOLTA AF28 F2.0の光路図です。

9群9枚構成、非球面レンズの採用はありません。被写体側に凹レンズを多く配置する一眼レフ用広角レンズでは典型的と言えるレトロフォーカスタイプです。

最も被写体側に凸レンズを置くのは歪曲収差と像面湾曲の補正のためで、非球面レンズの採用が難しかった時代によく見られ、近年では少なくなりました。

一眼レフ用の広角レンズは撮像素子側にミラーを配置する空間をあけるため、短い焦点距離ながら長いバックフォーカスを確保しなければならない矛盾があり、性能の確保が難しくなります。

レンズ枚数の視点で考えてみますと、例えば焦点距離50mm F2.0仕様のレンズなら6枚構成でそれなりの性能が確保できますが、本レンズは9枚構成と1.5倍の枚数を要し性能を担保しているので広角レンズの苦しさがわかります。

焦点距離50mmレンズの6枚構成のわかりやすい例としては過去に分析したNIKON 50mm F1.8Dを見ていただくとわかりやすいと思います。

また近代的な28mmレンズの設計事例としてはSIGMA Art 28mm F1.4を過去に分析しており、現代レンズの設計例としてご参照いただきたいと思います。

縦収差

球面収差、像面湾曲、歪曲収差のグラフ

minolta af28 F2.0 縦収差

球面収差 軸上色収差

F2.0と大口径のレンズのため球面収差の形状は中間部に膨らみのあるフルコレクションですが、上端部で反り返るような特異なクセを持っており、独特の解像感やボケ味が期待できそうです。

軸上色収差は広角レンズなので気になるほどの量はありません。

像面湾曲

球面収差のふくらみに合わせてマイナス側へ倒し画面周辺部でのピントズレを補正しています。グラフ上端部の最周辺ではサジタルとタンジェンシャルの差(非点収差)が大きいですが、フィルム時代は印刷サイズ関係で画面の隅の方はプリントされることはあまりありません。

そのため気になるほどの悪さではありませんでした。デジタル化された現代では画面の四隅まで拡大鑑賞可能ですから怖い時代になったものです。

歪曲収差

広角レンズのため若干大きいものの最大で2%以内のようです。安い標準ズームなどは5%程度ありますから十分小さい範囲です。

倍率色収差

minolta af28 F2.0 倍率色収差

倍率色収差は広角レンズほど補正が難しくなりますが、大口径も影響しやはり厳しい特性です。次項の横収差で見てみますとコマ収差でうまく散らせているようです。

横収差

タンジェンシャル方向、サジタル方向

minolta af28 F2.0 横収差

タンジェンシャル方向の特性を見てみますと中間部でのg線(青)、c線(赤)のコマ収差が大きいですが、これによって色収差を発散させ目立ちづらくしておりそこまで狙って設計しているものと推測されます。

しかしながら絞り込むとその効果が薄れますので小絞りでの色収差は目立つでしょう。

サジタル方向はF2.0の大口径の通りかなり大きなフレア成分が残ります。

スポットダイアグラム

minolta af28 F2.0 スポットダイアグラム

今回スケールを±0.3と大きくしていますのでご注意ください。画面の周辺部像高18mm以上でのスポットの広がりは大きいのですが、基準d線(黄)はそれなりに小さく、g線(青)やc線(赤)などの散らばり大きくなっています。

散らばりが大きいと結像性が弱いということですから撮影するとさほど色収差は目立だたなくなるのです。

MTF

開放絞りF2.0

minolta af28 F2.0 MTF F2.0

開放状態でのMTFの山は高く無いものの、頂点の一致度は高く西平先生が平坦性が高いと評したのも納得です。

小絞りF4.0

minolta af28 F2.0 MTF F4.0

F4まで絞り込むと山の高さは改善します、若干平坦性は崩れるようですが十分高性能と言えるでしょう。ただし倍率色収差が目立つ懸念がありますのでやはり開放絞りのバランスの良さを楽しむべきではないかと思います。

総評

西平先生が愛用したレンズだけあって少々クセがありつつも絶妙なバランスの性能であることがわかりました。

過去の分析済レンズで少し似ているはZuiko 35mm F2でしょうか。

プレミアム度が高いようで、中古品の程度の良い物が手に入るかわかりませんが、実写が楽しみな逸品です。

写友の彼は元気かな…

作例

MINOLTA 28mm F2.0は準備中です。

製品仕様表

MINOLTA 28mm F2.0 製品仕様一覧表は制作中です。

画角37度
レンズ構成9群9枚
最小絞り
最短撮影距離–m
フィルタ径–mm
全長–mm
最大径–mm
重量—g

他の製品分析記事をお探しの方は以下の目次ページをご参照ください。

リンク:レンズ分析目次

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