レンズ分析

【レンズ性能評価】SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM ART -分析076

シグマ 24-70mm F2.8 DG OS HSM ARTの性能分析・レビュー記事です。

レンズの仕組みやその性能は一体どう違うのか、具体的な違いがほとんどよくわかりませんよね。

雑誌やネットで調べても似たような「口コミ程度のおススメ情報」そんな記事ばかりではないでしょうか?

当ブログでは、レンズの歴史やその時代背景を調べながら、特許情報や実写作例を元にレンズの設計性能を推定し、シミュレーションによりレンズ性能を技術的な観点から詳細に分析します。

一般的には見ることのできない光路図や収差などの光学特性を、プロレンズデザイナー高山仁が丁寧に紐解き、レンズの味や描写性能について、深く優しく解説します。

あなたにとって、良いレンズ、悪いレンズ、銘玉、クセ玉、迷玉が見つかるかもしれません。

それでは、世界でこのブログでしか読む事のできない特殊情報をお楽しみください。

作例写真は準備中です。

レンズの概要

当記事で紹介するSIGMA 24-70F2.8 DG OS HSMは、ミラー有り一眼レフ用の大口径標準ズームです。

本レンズはSIGMAのレンズシリーズの中でARTラインに属しており、高性能でありながらも重厚な金属外装の高い質感にもこだわるSIGMAの最上位レンズシリーズの1本です。

まずはSIGMA F2.8通し仕様のフルサイズ用レンズの系譜を確認してみましょう。

  • 24-60mm F2.8 EX DG (2004)
  • 28-70mm F2.8 EX DG (2004)
  • 24-70mm F2.8 IF EX DG HSM (2009)
  • 24-70mm F2.8 DG OS HSM ART (2017) ★当記事
  • 24-70mm F2.8 DG DN ART (2019)
  • 28-70mm F2.8 DG DN Contemporary (2021)

初代F2.8通しの標準ズームレンズは24-60mm、28-70mmの2本で同時期に発売された不思議な関係性のレンズです。

本レンズはF2.8仕様の4代目、焦点距離は24-70mmの王道標準仕様ながら手振れ補正(OS)を搭載を実現しており、しかもARTシリーズの標準ですから、高性能も折り紙付きと言ったところでしょう。

私的回顧録

『不遇のレンズ』

本レンズは2017年の発売ですが、少々この時期について振り返ってみます。

まず、この年に発売されたカメラは、NIKONならD850、SONYではα9などが代表でしょうか。

当時コンデジはだいぶ売り上げを落とし新規機種数も減り、一眼レフの販売台数も峠を越え衰退の影があきらかとなってきた時代です。

その渦中において、SONYのミラーレス一眼だけは次第にシェアを拡大し続け、ミラーレス派と一眼レフ派の抗争は激しさを増すばかりでした。

このような時代背景のなか、2017年頃に発売されたレンズ達は、なんとも「不遇」な製品です。

一般に一眼レフの交換レンズは、10年以上に渡り販売される製品も多く、20年以上も販売の続くレンズも珍しいわけではありません。

ところが、当記事のレンズを含む2017年発売のレンズ達は短命であることを最初から決めつけられていたのです。

なぜなら、翌年2018年にNIKON Zシリーズなどが発売され、一眼レフカメラの本流が今後ミラーレスとなることが決定的となり、ミラーレス専用レンズへの置き換えが進むことは確実となったためです。

 ※注:PENTAXを除く


そして、本レンズもわずか2年後の2019年にはミラーレス版の後継機24-70mm F2.8 DG DN ARTが発売される歴史を辿ります。

さらにその先でも、世界的なカメラの販売低迷とコロナウィルスの問題、そして世界的な半導体不足など二重苦三重苦の時代を象徴するまさに不遇としか言えないレンズ達となってしまったのです。

実は、レンズを設計し製品が誕生する際に、その対価として設計者の寿命が鉄のヤスリのような物でゴリゴリと削られるのですが、この不遇さ加減には担当した設計者も浮かばれませんねぇ…

この苦難をねぎらうためにも性能分析を行ってまいりましょう。

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文献調査

特許文献を調査しますと関連文献は特開2017-156719であることは明白です。

本文に示される構成図を見ますと実施例1が製品に酷似するようですから、これを製品化したと仮定し、設計データを以下に再現してみます。

 関連記事:特許の原文を参照する方法

!注意事項!

以下の設計値などと称する値は適当な特許文献などからカンで選び再現した物で、実際の製品と一致するものではありません。当然、データ類は保証されるものでもなく、本データを使って発生したあらゆる事故や損害に対して私は責任を負いません。


当記事を読み終えますとレンズを購入したくなる恐れがございますので、事前に防湿庫の増設を検討されることをおススメいたします。

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設計値の推測と分析

性能評価の内容などについて簡単にまとめた記事は以下のリンク先を参照ください。

 関連記事:光学性能評価光路図を図解

光路図

上図がSIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSMの光路図になります。

本レンズは、ズームレンズのため各種特性を広角端と望遠端で左右に並べ表記しております。

左図(青字Wide)は広角端で焦点距離24mmの状態、右図(赤字Tele)は望遠端で焦点距離70mmの状態です。

英語では広角レンズを「Wide angle lens」と表記するため、当ブログの図ではズームの広角端をWide(ワイド)と表記しています。

一方の望遠レンズは「Telephoto lens」と表記するため、ズームの望遠端をTele(テレ)と表記します。

レンズの構成は15群19枚、第4/第9/第13/第19レンズは像面湾曲や球面収差に効果的な非球面レンズを採用し、色収差の補正に好適なSLDガラスも3枚も採用しているようです。

ARTシリーズらしい豪華で重厚な佇まいを見るだけですでに高性能は約束されているようなものです。

続いてズーム構成については以下になります。

上図では広角端(Wide)を上段に、望遠端(Tele)を下段に記載し、ズーム時のレンズの移動の様子を破線の矢印で示しています。

ズーム構成を確認しますと、レンズは全体として5ユニット(UNIT)構成となっています。

第1ユニットは、広角端から望遠端へズームさせると被写体側へ飛び出す方式です。

第1ユニット全体として凸(正)の焦点距離(集光レンズ)の構成となっていますが、これを凸(正)群先行型と表現します。

この凸(正)群先行型は、一眼レフでは高倍率ズームや望遠ズームレンズに多い構成で、全長を短くするメリットがありますが、第1レンズ側が大きくなるデメリットがあります。

第2から第5ユニットも、広角端から望遠端へのズームのさい各々が被写体側へ移動しています。

第2ユニットは、フォーカス(ピント合わせ)でも移動するレンズとなっています。

第4レンズの被写体側の貼り合わせレンズは、手振れを打ち消すように水平方向へ稼働するレンズで、SIGMAではこの手振れ補正をOS(Optical Stabilizer)機構と呼んでいます。

縦収差

左図(青字Wide)は広角端で焦点距離24mmの状態、右図(赤字Tele)は望遠端で焦点距離70mmの状態

左から、球面収差像面湾曲歪曲収差のグラフ

球面収差 軸上色収差

球面収差から見てみましょう、広角側では少々倒れが目立つものの、一昔前の単焦点などは遥かにしのぐ補正具合です。望遠端ではゼロレベルですね。

軸上色収差も十分に補正されています。

像面湾曲

像面湾曲は広角側は球面収差が倒れている割にはだいぶ補正されています。望遠側はサジタル(点線)とタンジェンシャル(実線)方向の差が少々残りますがMTFで確認する必要がありそうです。

歪曲収差

歪曲収差は広角側はマイナスに倒れいわゆる樽型に歪みます。望遠側はプラス側に倒れているのでいわゆる糸巻き型になります。一般的なズームレンズでありがちな量で、普及クラスの単焦点レンズと同レベルといったところでしょうか。

倍率色収差

左図(青字Wide)は広角端で焦点距離24mmの状態、右図(赤字Tele)は望遠端で焦点距離70mmの状態

倍率色収差はさすがにARTシリーズの単焦点レンズと比べると少々補正残りがありますが、ズームレンズとしては十分上位レベルです。

SIGMAのレンズを他社のカメラへ装着しても画像処理による倍率色収差の補正作用が効果を発揮するそうなので、実写上は気にならないでしょう。

横収差

左図(青字Wide)は広角端で焦点距離24mmの状態、右図(赤字Tele)は望遠端で焦点距離70mmの状態

タンジェンシャル、右サジタル

横収差として見てみましょう。

タンジェンシャル方向のコマ収差も見事に補正されています。


レンズが増えるとケースも必要ですよね。Amazonの格安ケースが手軽でおススメです。

スポットダイアグラム

左図(青字Wide)は広角端で焦点距離24mmの状態、右図(赤字Tele)は望遠端で焦点距離70mmの状態

スポットスケール±0.3(標準)

ここからは光学シミュレーション結果となりますが、最初にスポットダイアグラムから見てみましょう。

さすがにARTを名乗るだけのことがあり、標準スケールでは散らばりは小さくまとめられています。

スポットスケール±0.1(詳細)

拡大スケールで見ますと、広角側は画面周辺の像高18mmぐらいからスポット形状がV字になっており、望遠側は倍率色収差の影響で色ごとに少し分離しているのが観察されます。

MTF

左図(青字Wide)は広角端で焦点距離24mmの状態、右図(赤字Tele)は望遠端で焦点距離70mmの状態

開放絞りF2.8

最後にMTFによるシミュレーションの結果を確認してみましょう。

大口径ズームにしては山の高さが際立ちます。広角側では球面収差の倒れの影響か画面中心から周辺に向かい山の頂点が+側へ少々ずれがあるようです。

望遠端では頂点位置は素晴らしく一致しています。

小絞りF4.0

こちらはF4まで絞った様子です。

総評

さすがARTの名を冠するだけに手振れ補正(OS)を搭載しながらも、高い次元で収差をまとめあげている様子が良くわかりました。

ART単焦点との比較は少々酷ですが、絶妙に歪曲や倍率色などのデジタル処理で補正できる収差は残しつつもコマ収差やサジタルコマフレアを抑え高解像に全振りしている印象です。

冒頭、不遇のレンズと称してしまいましたが、各種サイトを拝見するとだいぶレビュー件数自体が少ないようで、やはり本来の評価を得られていないのではないでしょうか。

さて、この不遇のレンズが後継機でどのような躍進を遂げるのか、次回に乞うご期待ください。


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製品仕様表

製品仕様一覧表 SIGMA 24-70mm F2.8 DG OS HSM

画角84.1-34.3度
レンズ構成14群19枚
最小絞りF22
最短撮影距離0.37m
フィルタ径82mm
全長107.6mm
最大径88mm
重量1020g
発売日2017年7月7日

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