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【光学エンジニアの解説】 富士フィルム超大口径標準レンズ Fujifilm Fujinon XF 50mm F1.0 -分析107

富士フィルムの交換レンズXマウントシリーズ用の超大口径中望遠フジノン XF 50mm F1.0の性能分析・レビュー記事です。

さて、写真やカメラが趣味の方でも、レンズの仕組みや性能の違いがよくわからないと感じませんか?

当ブログでは、光学エンジニアでいわゆるレンズのプロである私(高山仁)が、レンズの時代背景や特許情報から設計値を推定し、知られざる真の光学性能をやさしく紹介します。

当記事をお読みいただくと、あなたの人生におけるパートナーとなるような、究極の1本が見つかるかもしれません。

作例写真は準備中です。

レンズの概要

富士フィルムXシリーズは、2011年から始まるAPS-Cサイズ撮像素子を採用したミラーレス一眼カメラのシステムです。

独自構造の撮像素子X-Trans CMOSや、フィルムシミュレーションなどの現像機能を搭載した独自性の強いカメラシステムに加え、単焦点レンズのラインナップにも力を入れているのも特徴です。

APS-Cサイズ撮像素子のカメラを販売するメーカーは他にもありますが、他社の様子を見るとフルサイズとの兼用でシステム構成する会社が多いようで、APS-Cカメラはどうしても「サブの位置付け感」が拭えません。

一方の富士フィルムは、APS-C素子をメインとしたシステムを構成しており、APS-Cの製品サイズ感を生かしながら、高感度特性もほどほどに良く、殊更に「写真を愛する」玄人に好かれるシステムとなっています。

さて、まず初めにXFレンズの焦点距離50mm台のレンズについて改めて確認してみましょう。

XFレンズはAPS-C撮像素子であるため、焦点距離50mmならばフルサイズ換算で約76mmの中望遠に相当します。

APS-Cサイズでこの焦点距離は、標準レンズよりも少し長い、いわゆるポートレートレンズと言われる仕様です。

富士フィルムのXFレンズシリーズは、この中望遠領域に大変に熱心で、すでに3本のレンズが発売されています。

過去には当ブログでもXF 56mm F1.2を分析しておりますので、参考にご覧ください。

 関連記事:XF 56mm F1.2 R WR/APD

一般的にはF1.2でも超大口径の部類ですから、これを越える大口径のレンズが発売されるとは夢にも思いませんでしたが、F1.0の衝撃的大口径レンズがなんとオートフォーカスにも対応し発売されています。

では、富士フィルムが50mmに賭けたたぎる思いを、ほんの少し紐解いてみましょう。

私的回顧録

『F1.0の希少性』

Fno(エフナンバー)がF1.0のレンズはあまりに少なくなくて、その希少性や凄み、あるいは歴史など、わかるようでわかりませんね。

現代でもF1.2よりも明るいレンズ(数値が小さい)は、2000年以降の国内メーカーを見てもNIKONのNIKKOR Z 58mm F0.95(受注生産)やCOSINAのマイクロフォーサーズ用NOKTON 25mm F0.95など、数えるほどしかありません。

歴史的な観点では意外に古くからあり、ドイツの有名な光学設計者Ludwig Jakob Bertele(通称ベルテレ博士)が、Ernostar(エルノスター)型レンズの構成を採用した映画用レンズとしてF1.0のレンズを1925年に開発したそうです。

なおベルテレ博士は、Carl Zeissの光学設計者で、Sonnar(ゾナー)型やBiogon(ビオゴン)型を発明した偉大なお方です。

当ブログでも、現代にSonnarの名を残すレンズを分析したこともありました。

 関連記事:SONY Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA

日本で開発されたレンズに目を向けると、帝国光学工業(後のズノー光学工業)が1953年に5cm F1.1を発表し販売しています。

このレンズは「写真用レンズとして」に限定すると当時世界イチの明るさだったとされています。

続いて、NIKONが1956年に発売したNIKKOR-N 5cm F1.1 もあります。

以降、数年おきにF1.0クラスのレンズが発売されていますが、特殊なレンズのためか定番化した製品は少なく、やはり定着しづらいのでしょうか…

時が経ち、1980年代以降カメラのオートフォーカス化が進むと、F1.0クラスの製品はオートフォーカス化が難しく、さらに衰退してゆきます。

なにしろ「Fnoが明るい」ということは「径が太い」すなわち「重い」のです。

 関連記事:Fnoとレンズの大きさ

この重いレンズを高速かつ超高精度に移動させることは、現代の技術を持ってしても困難な課題であるのです。

例えば、2019年に発売されたNIKON NIKKOR Z 58mm F0.95はフルサイズかつ超高性能を実現するためにマニュアルフォーカス専用でした。

現代的なCOSINAの製品もマニュアルフォーカスで、撮像素子はフォーサーズ向けだったりします。

そのため、APS-Cサイズとは言えオートフォーカスに対応したFUJIFILM XF 50mm F1.0は、現代でもなかなかに希少な存在であるのです。

文献調査

だいぶ以前から特開2021-117492の実施例3がXF 50mm F1.0であることは認知していたものの、FujiFilmのレンズを再現しようとすると私の利用している光学CADソフト「OPTALIX」のバグのような現象で再現性が低くなる問題がありました。

ようやくバグの修正版に切替ができましたので、設計データを以下に再現してみます。

 関連記事:特許の原文を参照する方法

なお、当レンズの撮像素子はAPS-Cサイズでありますが、フルサイズのレンズと比較できるようにグラフ類のスケールを調整しています。

概念的に表現すると、もしこのレンズをフルサイズ用に設計し直すとこのような性能となる、と見ていただけるとわかりやすいでしょう。

  関連記事:センサーサイズとレンズサイズ

!注意事項!

以下の設計値などと称する値は適当な特許文献などからカンで選び再現した物で、実際の製品と一致するものではありません。当然、データ類は保証されるものでもなく、本データを使って発生したあらゆる事故や損害に対して私は責任を負いません。

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設計値の推測と分析

性能評価の内容などについて簡単にまとめた記事は以下のリンク先を参照ください。

 関連記事:光学性能評価光路図を図解

光路図

上図がFujifilm Fujinon XF 50mm F1.0の光路図になります。

その他のレンズ分析記事をお探しの方は、分析リストページをご参照ください。

以下の分析リストでは、記事索引が簡単です。

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  • この記事を書いた人

高山仁

光学設計一筋40年を超えるの世界屈指のプロ光学設計者。 さてその実態は零細光学設計事務所を運営するやんごとなき窓際の翁にしてレンズレビュー・コンソーシアム会長。 当ブログへのリンクや引用はご自由にどうぞ。 更新情報はXへ投稿しております。

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