レンズ分析

【レンズ性能評価】HD PENTAX-D FA ★50mm F1.4 SDM AW -分析085

HD ペンタックス-D FA ★50mm F1.4の性能分析・レビュー記事です。

レンズの仕組みやその性能は一体どう違うのか、具体的な違いがほとんどよくわかりませんよね。

雑誌やネットで調べても似たような「口コミ程度のおススメ情報」そんな記事ばかりではないでしょうか?

当ブログでは、レンズの歴史やその時代背景を調べながら、特許情報や実写作例を元にレンズの設計性能を推定し、シミュレーションによりレンズ性能を技術的な観点から詳細に分析します。

一般的には見ることのできない光路図や収差などの光学特性を、プロレンズデザイナー高山仁が丁寧に紐解き、レンズの味や描写性能について、深く優しく解説します。

世界でこのブログでしか読む事のできない特殊情報をお楽しみください。

作例写真は準備中です。

レンズの概要

HD PENTAX-D FA ★50mm F1.4は、PENTAXの誇るハイエンドシリーズである「★の称号」を持つレンズで、妥協なき高性能を求めて設計製造された製品です。

まずは、PENTAXの標準50mm F1.4レンズの系譜を改めて確認してみましょう。

  • Super Takumar 50mmF1.4 6群7枚:初期8枚
  • SMC Takumar 50mmF1.4 6群7枚
  • SMC PENTAX 50mmF1.4 6群7枚
  • SMC PENTAX M50mmF1.4 6群7枚
  • SMC PENTAX A50mmF1.4 6群7枚
  • SMC PENTAX F50mmF1.4 6群7枚
  • SMC PENTAX FA50mmF1.4 6群7枚
  • HD PENTAX D FA★50mmF1.4 SDM AW 9群15枚(2018)当記事

さすが一眼レフカメラシステムの開祖たるPENTAXだけあり50mm F1.4もたくさんあります。

最初の50mm F1.4仕様のレンズが誕生したのは、スーパータクマーの時代ですから1960年代になります。

その後は、6群7枚構成のいわゆるダブルガウスタイプの光学系が採用されていました。

スーパータクマーからおよそ60年後、平成も終わり令和も差し迫る2018年、衝撃の9群15枚構成で登場したのが当記事で分析するHDペンタックスD FA★50mmF1.4となります。

私的回顧録

『タクマーは琢磨』

古典的PENTAXのレンズは「タクマー」と銘が付けられています。

 例:TAKUMAR 50mm F1.4など

タクマーとは、旭光学創業者の弟でアメリカでも名の知られた芸術家かつ写真家でもあった梶原琢磨氏に由来します。

どの業界でもそうですが、創業者やそれにちなんだ名前を製品に付けるのは多くのメーカーで見られます。

カメラメーカーでもタクマーの他にも思いつくものもいくつもあります。

まずひとつ、今やなつかしい中判カメラの代名詞「ゼンザブロニカ」は、創業者の吉野善三郎氏に由来する名前です。

ゼンザブロニカとは、なんとも響きの良い名前で「語源はドイツ語なのかな?」と、うっかり勘違いしますよね。

この名前は、実際には「善三郎×ブローニー判(中判)」の掛け合わせから生まれたものです。

また、現代では交換レンズメーカーの代表格「タムロン」の名前は、同社の光学設計の第一人者であった田村右兵衛氏に由来すると同社のホームページに現代でも堂々と記載されています。

タムロン創業時の社名が泰成光学であったので、双方に都合の良いネーミングだったのでしょうか。

あるいは、知る人ぞ知る田中光学の「タナー」の名を知れば、「なんかもう…なんでもアリかな」と思う気持ちになりますね。

一説には「戦後の復興期、カメラやレンズのメーカー名の頭文字を並べるとJ,U,Xを除きA~Z全てあった」と言われています。

全て並べて人名由来の名称がいくつあるのか調べてみたい物です。

さて私「高山仁」もオリジナルレンズを発売した際の名前を考えておかねば、と気持ちばかりが焦ってしまいますね…

例えば、Zin HM 50mm F1.2 aspherical umc ED とかどうかなとか…う~ん、いまいちシックリしませんね。

と、余談は終わりまして早速レンズの分析へまいりましょう。


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文献調査

RICOHから出願された特許文献特開2019-139158には当記事の50mm F1.4と思われるレンズの設計例が実施例として5種類記載されています。

特許文献と言うものは必ずしも設計値に近い物が記載されているわけではなく、主張する権利範囲内で想定される形状(設計)パターンが広く色々な形で記載されているものです。

今回の文献をまずはおおまかに見ると、実施例1~3は当製品に見た目が酷似します。実施例4は、レンズの構成枚数が少々異なるようです。

実施例5は、ピント合わせのさいに複数の群が動くフローティングタイプのようですが、当製品のHPにはそのような説明は無いようなので製品とはだいぶ違うのでしょう。

実施例1~3を細かく見たところ、実施例1は画面中心域の性能重視、実施例2は画面周辺域の性能重視、実施例3は画面中心~周辺域のバランス型と見受けられます。

これはもう好みの差ですが、今回はバランス型である実施例3を製品化したと仮定し、設計データを以下に再現してみます。

 関連記事:特許の原文を参照する方法

!注意事項!

以下の設計値などと称する値は適当な特許文献などからカンで選び再現した物で、実際の製品と一致するものではありません。当然、データ類は保証されるものでもなく、本データを使って発生したあらゆる事故や損害に対して私は責任を負いません。


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設計値の推測と分析

性能評価の内容などについて簡単にまとめた記事は以下のリンク先を参照ください。

 関連記事:光学性能評価光路図を図解

光路図

上図がPENTAX-D FA ★50mm F1.4の光路図になります。

9群15枚構成、最も撮像素子側の第15レンズには球面収差や像面湾曲の補正に効果的な非球面レンズを採用し、色収差の補正に効果的な異常分散ガラスを第6,9,12レンズと3枚も採用しています。

レンズ系の中央部に空間を開け、その被写体側(左側)には凹レンズの多いコンバータ群となる第1レンズ群、撮像素子側(右側)には第2レンズ群としてガウスレンズらしい構成のレンズを配置しています。

現代でこそ、SIGMAのArtレンズシリーズなどの高性能な単焦点レンズで多く見られる構成ですが、元を辿ればPENTAXのFA 85mm F1.4がその発端です。

 関連記事:SIGAM 50mm F1.4 DG HSM Art
 関連記事:smc PENTAX-FA★85mmF1.4ED

縦収差

左から、球面収差像面湾曲歪曲収差のグラフ

球面収差 軸上色収差

球面収差から見てみましょう、清々しいほどの直線的特性です。縦収差を見るだけで★レンズの称号の意味を理解できます。

単に収差が少ないだけでなく、素直で美しいまとめ方であるところが目を引きますね。

軸上色収差はF線(水色)とd線(黄色)を重ねると最も解像力が高くなります。またg線(青)とC線(赤)を重ねると嫌らしい赤みの強いにじみを軽減できるので理想的な補正になっていることが伺えます。

像面湾曲

像面湾曲はg線(青)などの色成分も含めて極小にまとめられています。

歪曲収差

歪曲収差は全域でゼロなので、何かもう言及することが困難ですね。

倍率色収差

倍率色収差は中間像高で若干ふくらみを残しています。

この量は、特段に大きいと指摘されるほどではありませんが、PENTAXのカメラも倍率色収差を画像処理で補正していることを公言しているので、ある程度はカメラ側の補正機能に依存しているのでしょう。

横収差

タンジェンシャル、右サジタル

横収差として見てみましょう。

大口径レンズほどタンジェンシャル方向のコマ収差の補正が困難となりやすいのですが、かなり小さくまとめています。

サジタル方向のコマフレアは流石に補正が難しいようで画面周辺の像高18mmあたりからは大口径レンズらしく少々大き目です。


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スポットダイアグラム

スポットスケール±0.3(標準)

スポットダイヤグラムでは、サジタル方向のコマフレアの影響で、画面周辺の像高18mmあたりから横に広がるようなスポット形状になります。

星景写真などを撮影される方は1段程度は絞る方が良さそうですね。

メーカーは異なりますが、古い時代の標準50mm F1.4の代表としてNIKON 50mm F1.4Dなどを参照されると旧来からのガウスレンズとの違いが良くわかりやすいのではないでしょうか?

 関連記事:NIKON AI AF NIKKOR 50mm f/1.4D

スポットスケール±0.1(詳細)

こちらはスポットダイヤグラムをさらに拡大した図です。

MTF

開放絞りF1.4

最後にMTFを確認してみましょう。

画面中心から画面中間の像高12mm程度までは高い山で位置も申し分ありません。

画面周辺の像高18mmあたりからは少し山のズレがありますが、十分な高さを残しており旧来のガウスレンズとは比較のしようが無いレベルの改善度です。

旧来的なガウスレンズならF4まで絞ってもここまでの解像度になりません。

小絞りF4.0

こちらはF4に絞り込んだ状態のMTF性能です。

FnoをF4まで絞ると理想レンズの領域に到達しています。

総評

さすがは令和時代の一眼レフ用標準レンズとして君臨するために開発された標準レンズだけあり、抜け目のない完成度でありました。

近年(2022現在)のPENTAXは「一眼レフ宣言」や「工房的ものづくり」などの新たな価値観の創出を志す姿勢を示していますが、いずれも現在の一眼レフシステムを長く維持するため施策であり、きっと当レンズも長く世に愛される逸品となることでしょう。

なお、PENTAXユーザーではないのにどうしてもこのレンズを使われたい方は、こちらのレンズが実は同じ光学系を採用しているように推測されますので購入を検討されてはいかがでしょうか?


作例・サンプルギャラリー

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製品仕様表

製品仕様一覧表 PENTAX-D FA ★50mm F1.4

画角47度
レンズ構成9群15枚
最小絞りF16
最短撮影距離0.4m
フィルタ径72mm
全長106mm
最大径80mm
重量910g
発売日2018年7月20日

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